梅旧院の判決の意義
2021/03/31
初めに
梅旧院の判決の意義について解説させて頂きます。
ビル型納骨堂
梅旧院光明殿は、ビル型納骨堂です。ビル型納骨堂では、ビルの中にコインロッカーのような仕様スペースがあり、お骨を収めることができます。
ビルですので、以下の利点があります。都心に作ることでできアクセスが便利です。冷暖房完備で、清掃等の必要もありません。
逆に以下のようなデメリットがあります。
一つは、エレベーターの維持等のこの維持には経費がかかること、そのため、運用計画と運用資金の適正な管理がされないと、何年後にはビル(お骨)の管理を誰もしない状態になってしまいます。
一般的な墓地では、墓石等の物理的は風化を別にしてそこまでの維持費はかかりません。また、古くからの慣習によって運営されてきており、その管理はある程度保証されています。
二つは、建設のためには莫大な費用がかかります。宗教法人だけでは捻出が難しく、営利会社が宗教法人にお金を貸して、最終的な運営権を乗っ取るなど、名義貸しの問題が起きやすいという問題です。
梅旧院光明殿では、二つの問題が起きました。
宗教法人である光明殿が、宗教法人を支配してていることが明らかになりました。(名義貸し)
また、光明殿がビル型納骨堂の運営資金を全て吸い上げてしまい、今後の運営ができない状態になっていることが明らかになりました。
名義貸し
お墓は宗教人や公共団体しか経営できません。名義貸しは違法であり、お墓(ビル型納骨堂)の許可の取り消し事由にも該当します。
そもそも、お墓は永続性が必要な事業でありますお金儲けを前提とする営利法人が経営すれば、他の事業への投資などで破綻等するリスクがあります。そのため、名義貸しは違法とされています。
梅旧院光明殿では、名義貸しとなっていました。
また、梅旧院光明殿は名義貸しとなっており、今後は、経営許可が取り消される可能性があります。
厚生労働省の指針
厚生労働省は、「墓地経営・管理の指針等について」という指針を出しています。
https://www.mhlw.go.jp/topics/0104/tp0413-2.html
ここには、以下のようなことが書かれています。
お墓は永続性が必要な事業であります。お金儲けを前提とする営利法人が経営すれば、他の事業への投資などで破綻等するリスクがあること、そのため、お墓は宗教人や公共団体しか経営できないこと。
名義貸しが違法であること、営利法人が墓地等の運営を行い、その売り上げのほとんどを宗教法人から営利法人が受け取ってしまう運営実態を名義貸しの典型例の一つであること。
墓地等について抵当権が設定されていることは、永続的な墓地の運営にとってふさわしくないこと。(抵当権が実行されると、墓地等の運営がどうなるか不透明になる。)
梅旧院光明殿はビル型納骨堂に抵当権が設定されて、この抵当権は、営利法人が宗教法人を支配する手段として利用されていました。
ビル型納骨堂の立替問題
判決では直接問題になっていませんが、ビル型納骨堂については、耐用年数の問題があり、永続的な運営については建替えが必要です。
これは、マンションと同じ問題であり、建て替え後に新しいビルで、利用を継続できるのか、それとも、耐用年数を経過すれば、利用できなくなるのか。
利用できなくなるとして、預けた遺骨はどうなるのか。
これらについて、契約書にて明記されていることが必要になっています。
梅旧院の訴訟では、、契約書に明確な定めがない点も問題したのですが、裁判所とは特に判断を示しませんでした。
監督官庁の監督が不徹底であること
梅旧院光明殿では、2017年には、営利法人の脱税問題がマスコミ報道されました。
しかしながら、現在も、梅旧院光明殿の営業許可は取り消されておらず、名義貸しについて実態調査がされていません。
弊所でも、監督官庁への告発も検討している最中ですが、監督官庁もマスコミ報道がされていることは把握していたはずです。
(墓地等の経営)許可制度、そして監督体制については見直しが必要です。
光明殿がビル型納骨堂の運営資金を全て吸い上げてしまい、今後について永続的な運営は難しい状態になっています。お金を支払ったのに納骨堂を利用できない多数の被害者が生まれます。監督官庁の責任も問題になると思います。