【基本】一部請求と時効
2025/04/12 更新
一部請求と時効
(1)黙示の一部請求は「一部請求である。後日、残部を請求する可能性がある。」と明示しない一部請求である。例えば、損害賠償請求をしていたが、損害項目を見直した結果、請求額が増やすために訴えの変更の手続を行って請求額を増やすことが考えられる。
黙示的一部請求である場合には、訴えの変更後の請求額(残額請求を含む)は、変更前の一部請求により裁判所の審理対象となっている(民法147条の1項1号の「裁判所の請求」請求手続がとられている)から、時効は完成しない(最判昭和45年7月24日民集24巻7号1177頁)。
(2)明示的一部請求については、その一部請求のみが訴訟物となる。しかし、明示的一部請求について、特段の事業がない限りは(一部請求の訴え提起が残部の請求との関係で民法147条1項2項の支払督促にあたるので)一部請求訴訟の終了後6か月位以内に残部請求の訴えを提起すれば、時効は完成しない(最判平成25年6月6日民集67巻5号1208頁)。