【基本】確認の利益
2025/04/20 更新
確認の利益
確認の訴え
(1)確認の訴えとは、ある権利関係、法律関係について本案件判決をすることが、原告の権利、法律関係に現存する不安危険を除去するために、必要かつ適切であることをいう。
(2)確認の訴えは、以下の3つに分けて考えられる、とされています。
①確認の訴えが紛争の解決方法として適切どうか(方法選択の適否)。
②確認の対象として選択された訴訟物か適切か(対象選択の適否)。
③確認判決をすべき現実的必要性が認められるか(即時確定の必要性)。
(1)①②の基準は、独立した基準ではなく、総合的に考慮して③即時確定の必要性の有無が問題となります。 (2)確認対象が「現在の」 「現在の権利関係、法律関係」 ではない場合には、かつての判例は直ちに確認の利益を否定してきました。 しかし、現在は、紛争解決の現実的必要性の有無を考慮して、③即時確定の必要性が認められば、訴えの利益が認められる余地がある、というのが判例の考え方です。 |
①方法選択の適否
他の紛争解決方法がより適切であるとすれば、確認の利益は認められません。給付の訴えには執行力があります。給付の訴えが可能な場合には、訴えの利益は認められないのが原則です。
②対象選択の適否
確認の対象は現在の権利関係、法律関係でなければならない、というのが原則です(対象選択の適否)。
③即時確定の利益
(ア)原告が確認を求めている権利関係、法律関係が具体的かつ現実的なものであり、(イ)その地位が被告等の行為により、不安や危機にひんしていることをいう(即時確定の利益)。
最判昭和47年2月15日民集26巻1号30頁
(1)遺言無効確認の訴は、遺言が無効であることを確認する訴えである。
(2)したがて、形式上は過去の法律行為の確認を求める訴えに分類される(対象選択の適否)。
(3)しかし、上記を確認することで、実際には、(遺言を無効を前提とした遺産の所有権の確認を求める等の)現在の法律関係の確認を求める意図があり、そのように理解できるときには、即時確定の利益が認められる。
最判昭和61年3月13日民集40巻2号389頁
(1) 遺産確認の訴えは、形式上は過去の法律行為の確認を求める訴えに分類される(対象選択の適否)。
(2)しかし、上記を確認することで、実際には、当該財産が現に共同相続人による遺産分割前の共有関係にあることの確認を求める訴えであって、現在の特定の法律関係の確認を求める意図があり、そのように理解できるときには、即時確定の利益が認められる。
最判平成11年6月11日家月52巻1号81頁
(1)遺言無効確認確認の対象は、形式上、過去の法律行為の確認を求める訴えであために、対象選択の適否を欠くが、紛争解決の現実的必要性の有無を考慮して、遺言確認の訴えについて、即時確定の必要性を認められば、確認の利益が認められることがある。
(2)判決は、本確認の訴えの趣旨は、受遺者(遺贈を受け取る者)が遺言を受け取ることができない、ことである。
(4)しかし、遺言者は存命中であるから遺言も効力を有しないし、上記で確認を求めたれている遺言者の地位の確認は、現在の法律関係の確認ではないとして、対象選択の適否が否定された(実質的には、即時確定の利益が否定された)。