【実務】文書の真正(1)文書の真正を争わない場合
2025/04/22 更新
形式的証拠力
(1)文書の記載内容を証拠とするには、文書が「真正に成立した」ことが必要である(民事訴訟法228条1項)。
(2)「真正に成立した」とは、その文書が本人の意思に基づいて作成されたことを意味する。
(3)「真正に成立した」ことが立証された場合、文書に形式的証拠力があるとされる。
文書の真正を争う場合と、争わない場合
1 文書の真正を争わない場合
(1)例えば、原告が、契約の成立を主張し、証拠として契約書を提出することはよくある。
この場合に、被告が契約の成立を認めると、現実的には、文書の真正は争点とならない。
(2)文書の記載内容を証拠とするには、文書が「真正に成立した」ことが必要である(民事訴訟法228条1項)。
したがって、この場合には、当事者が文書の真正を争わなかった、と理解される。
2 文書の真正を争う場合
(1)原告準備書面(1)で、原告が、契約の成立を主張し、証拠として契約書を提出するしたとする。
(2)被告準備書面(1)で、被告が、契約の成立を否認したとする。
(3)原告準備書面(2)で、原告が被告と◯◯日(契約日)に会ったこと、メールでも契約について話していること、契約書に被告の署名があるから、契約書どおりの契約の成立が認定されるべきと主張することになる。
(4)被告準備書面(2)で、「原告が被告と◯◯日(契約日)に会ったかどうか。」「メールについて別の解釈ができること」、「契約書の被告の名義の署名が本当に、被告のものか」について認否することになる。
このような場合に、文書の真正が問題となる。