【基本】訴状の書き方(請求原因)
2025/04/28 更新
請求原因
(1)訴状は請求原因を記載する。
(2)請求原因は、よって書きの根拠を全て記載する必要がある。
第2 請求の原因 1 当事者 (1)原告は、訴訟外山田太郎が代表取締役を務める会社である。 (2)原告は、会社名を株式会社から山田物産株式会社に変更した(甲1-1,甲1-2)。 (3)被告と訴訟外山田太郎は中学時代の友人であり、被告に頼まれて、原告と被告(吉田一郎)が金銭消費貸借契約を締結することになった(甲2)。 (4)被告は住所を移転し、現在の住民票の住所地は、「◯◯◯◯」である(甲3)。 2 金銭消費貸借契約 (1)令和5年6月1日、原告と被告は、原告が被告に、下記の金銭を貸し付ける金銭消費貸借契約を締結した(甲4)。 貸付額 100万円 返済日 令和5年11月末日 100万円を一括で返済する。(甲4の第2条) 遅延損害金 賃料の遅延損害金は、年15%である(甲4の第8条)。 (2)令和5年6月1日、原告は被告に対し、送金の方法で100万円を交付した(甲5)。 3 被告の返済 (1)令和5年11月末日を過ぎたが、被告は一切返済しなかった。 4 結論 (1)よって、原告は被告に対し、消費貸借契約に基づく返還請求権として100万円及びこれに対する令和5年12月1日から支払済みまで年15%の遅延損害金の支払いを請求する。 |
当事者
(1)最近は、請求原因の前に、請求原因として必要な要件事実を記する前に、下記のような簡単な当事者(登場人物)の人間関係を記載することが多い。
(2)また、証拠(契約書)と、訴状の当事者の記載が不一致となっているから、名称が変わっているが同一であること、住所が変更されているが、同一であることを説明している。
1 当事者 (1)原告は、訴訟外山田太郎が代表取締役を務める会社である。 (2)原告は、会社名を株式会社から山田物産株式会社に変更した(甲1-1,甲1-2)。 (3)被告と訴訟外山田太郎は中学時代の友人であり、被告に頼まれて、原告と被告(吉田一郎)が金銭消費貸借契約を締結することになった(甲2)。 (4)被告は住所を移転し、現在の住民票の住所地は、「◯◯◯◯」である(甲3)。 |
要件事実
(1)要件事実は、実体法上の権利の発生、変更、消滅を発生させる、法律上の要件(要件事実)に該当する具体的な事実である。
(2)「要件事実」のマニュアルを見ながら、請求原因として必要な要件事実を記載しているかをとチェックする。
(2)多くの場合には、期限、遅延損害金、訴訟物(例えば、消費貸借契約に基づく返還請求権)の記載が全て揃っているか問題となる。
(3)売買契約においても、約束した仕事内容は目的物の引き渡しである。実体法の解釈とは別に、実際に、目的物を引き渡して約束を履行したのかは、大切な問題である。
売買
売買は、①何を売ったのか。②目的物を引き渡した日、③代金の支払い日、④遅延損害金の合意を記載する。
請負
請負は、①約束した仕事内容、代金の合意、②仕事をした内容と成果物、これを引き渡した日、③代金の支払い日、④遅延損害金の合意を記載する。
委託
(1)委託は、①約束した仕事内容、代金の合意、②仕事をした内容を行ったこと、これが完了した日、③代金の支払い日、④遅延損害金の合意を記載する。
(2)委託(委任、準委任)契約の場合には、手術のように、手術の業務をしていれば、手術が成功しても、成功しなくても、代金を請求できる、と言われる。
しかし、請負か、委託かを議論する実益はなく、どんな条件で代金請求権が発生するかが重要である。
不法行為
(1)相手の社会的不相当な行為によって損害が発生した場合には、不法行為請求ができる。
(2)社会的に受忍範囲の行為なのか。違法行為なのかは線引が難しい。
典型的な不法行為では問題とならないが、非典型的な不法行為(例えば、悪口を言って傷ついた。)という場合には、判例を分析して◯◯の場合に請求が認められている、ということを分析したないと、要件事実が確定しない。