判例(1ヶ月単位の変形労働時間制(就業規則型)が無効である、とされた事例)
2026/05/17 更新
1ヶ月単位の変形労働時間制の手続
1 要件
(1)毎月、シフトを作成して、これを社員に配る場合に、(1ヶ月単位の変形時間労働制を有効になるには)以下の手続が必要です(就業規則型)。
① 就業規則で、労働時間のスケジュールの決め方(スケジュールの起算日、始業時刻、終業時刻、シフトの設計の考え方、作成手順、周知方法)の基本的事項を決めること。
② スケジュールの期間が1ヶ月以内で、その期間において、以下の労働時間に枠内におさまっていること
| 1ヶ月の歴日数 | 労働時間の総枠(40時間制の場合 |
| 28日 | 160時間 |
| 29日 | 165.7時間 |
| 30日 | 171.4時間 |
| 31日 | 177.1時間 |
③ スケジュールが①のとおり作成されていること
④ スケジュールが①のとおり、事前に社員に周知されていること
⑤ ①~④の内容が、社員の生活設計を損なわない形で運用されていることが必要でしょう(私見)。
社員の生活設計を考えれば、複雑なシフトパターンはふさわしくありません。
2 判例と通達
(1)最判平成14年2月28日民集56巻2号361頁によれば、シフト表によっての各日の所定労働時間が特定されて、変形労働時間制が適用されるとするためには、シフト表等の書面の内容、作成時期や作成手続等に関し就業規則等の定めがり、かつ、就業規則等の記載とシフト表によって、各週、各日の所定労働時間の特定がされていると評価し得るか否かを判断する必要があるとされます。
(2)また、昭和63年3月14日付通達も「就業規則において各直勤務の始業終業時刻、各直勤務の組合せの考え方、勤務割表の作成手続及びその周知方法等を定めてお」くことが求められている。
東京地判令和5年4月14日労経2549号24頁
東京高判令和6年4月24日労判1318号45頁
1 就業規則、その他の会社の運用
(1)就業規則には、具体的な所定労働時間について、日直勤務は9時~翌朝9時(休憩は仮眠を含み8時間)、日勤勤務は8時~17時(休憩1時間)その他勤務時間の範囲で、始業・終業・休憩時間決める」と記載されていた。
(2)上記のうえで、シフトによって、実際の所定労働時間が特定されていた。
2 判決(東京地判令和5年4月14日労経2549号24頁)
(1)上記の就業規則では、シフト表の内容、作成時期、作成手続の記載がない。
(2)実際の運用のシフトの時間と就業規則の時間との間に1時間のずれが存在した。
(3)シフト表が定める所定労働時間について、週平均所定労働時間が40時間を超える日が相当数存在した。
以上を考慮すれば、上記の運用では、1ヶ月単位の変形労働時間制(就業規則型)が無効である、とされました。
参考
ビジネスガイド2026年6月号97頁






