提訴期限:2027年3月31日 制度解説 ❯

給付金受給者が死亡した場合の「遺族への差額給付金」請求権と時効5年

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法、基本合意書、裁判実務および厚生労働省の最新手続基準に基づき、法律実務の視点からわかりやすく解説しています。

Q 「B型肝炎給付金の受給者が死亡した場合、遺族が差額を請求できる条件と時効は?」
A 【請求の条件と仕組み】和解後に病態が悪化し、肝がんや重度肝硬変などで死亡した場合、遺族はすでに受け取った給付金と、死亡時点の病態に応じた最高3,600万円との差額を請求可能です。この権利は相続人に承継され、死亡日の翌日から5年以内に訴訟上の手続きを行う必要があります。
【対策と弁護士の役割】時効の5年は非常に短く、医学的証拠の収集や相続関係の整理には時間を要します。期限を過ぎると受給権が消滅するため、死亡が判明した時点で速やかにB型肝炎訴訟に精通した弁護士へ相談し、証拠収集と手続きの代行を依頼することが、権利を確実に守るための最善策です。

B型肝炎訴訟において無事に和解が成立し、給付金を受給された後、ご本人がB型肝炎を原因とする肝硬変や肝がんなどの病態悪化によってお亡くなりになるケースがあります。このような場合、残されたご遺族にはどのような権利があるのでしょうか。

ここでは、給付金受給者がお亡くなりになった場合に、ご遺族が国に請求できる「追加給付金(差額給付金)」の制度と、その請求期限(時効)について詳しく解説します。

遺族が請求できる「差額給付金」とは

B型肝炎訴訟の給付金は、発症している病態の重さに応じて金額が定められています。たとえば、当初は慢性肝炎として給付金を受け取っていた方が、その後肝がんに進行し、結果としてB型肝炎を原因としてお亡くなりになった場合、国が定める「死亡・肝がん・重度肝硬変」の基準に該当することになります。

このとき、ご遺族(相続人)は、「死亡基準による規定の給付金額」から「生前にご本人がすでに受け取っていた給付金額」を差し引いた差額を、追加給付金として請求する権利を引き継ぐことができます。

請求が可能な遺族(相続人)の範囲

給付金を請求する権利は法的な「財産権」として扱われるため、ご本人の法定相続人(配偶者、お子様、ご両親など)が請求を行うことができます。

請求手続きのメリット:再度裁判をする必要がない

ご本人が生前に国との間で和解を成立させていた場合、「国に責任があること(因果関係)」はすでに法的に確定しています。

そのため、ご遺族が差額給付金を請求する際は、改めて一から裁判を起こす必要はありません。病態が悪化して死亡に至ったことを証明する医師の診断書や医療記録などを揃え、社会保険診療報酬支払基金(支払基金)に直接書類を提出するだけで、差額を受給することができます。

差額給付金の請求期限(時効5年)に注意

ご遺族による差額給付金の請求には、厳格な期限(時効)が定められているため注意が必要です。

  • 請求期限:ご本人が「死亡」または「新たな病態を発症したこと」を知った時から5年以内に手続きを行う必要があります。

この5年という期間を過ぎてしまうと、時効によって差額給付金を受け取る権利が消滅してしまいます。大切なご家族を亡くされた深い悲しみの中で手続きを行うのは大変なことですが、期限があることだけは心に留めておいてください。

まとめ

一度和解が成立していれば、将来もし最悪の事態が起こってしまった場合でも、残されたご家族に対して国からの補償(差額給付金)が確約されています。ただし、5年という請求期限があるため、万が一の際は早めに対応することが大切です。

B型肝炎給付金の手続きや対象要件でお悩みの方は、一人で抱え込まず、厚生労働省のB型肝炎訴訟相談窓口(0120-800-024)や法テラス、全国の弁護士会法律相談センターなど、公的な相談窓口のご利用をご検討ください。

🏛️ B型肝炎給付金に関する公的な相談窓口

特定B型肝炎ウイルス感染者給付金の支給要件、必要書類、訴訟手続きなどに関するご相談は、厚生労働省の専門窓口や中立的な公的機関をご利用いただけます。

【主な公的相談窓口】
  • 厚生労働省 B型肝炎訴訟相談窓口: 0120-800-024(平日 9:00〜17:00 / 通話料無料)
  • 法テラス(日本司法支援センター): 0570-078374(平日 9:00〜21:00、土曜 9:00〜17:00)
  • 各都道府県の弁護士会: 全国の弁護士会法律相談センターにて専門相談窓口が開設されています。
弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、交通事故の賠償問題をはじめ、事業者様を狙う求人広告詐欺の被害救済やオフィス・テナント等の原状回復トラブルなど、不測の事態に直面した皆様の精神的・経済的なご負担を少しでも和らげ、正当な権利の実現と円満な解決へと導くためのサポートを徹底して行っています。

TOP