提訴期限:2027年3月31日 制度解説 ❯

慢性肝炎や肝がんの「20年」の起算点:発症時期のカルテが運命を分ける理由

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法、基本合意書、裁判実務および厚生労働省の最新手続基準に基づき、法律実務の視点からわかりやすく解説しています。

Q B型肝炎訴訟の「20年」の起算点はどう決まる?カルテがないと給付金はもらえない?
A 【起算点のルール】慢性肝炎や肝がんの起算点は、医療機関で初めて当該疾患と診断・治療された日です。この日から20年が経過すると除斥期間により給付金請求権が消滅するため、正確な日付の特定が極めて重要です。
【カルテ紛失時の対策】カルテが廃棄・紛失されている場合でも、当時の紹介状、検査結果、処方箋、あるいは医師の陳述書など、他の客観的証拠から発症時期を立証できる可能性があります。諦める前に、B型肝炎訴訟に精通した弁護士へ相談し、代替資料の収集や医学的知見に基づいた立証戦略を立てることが、給付金獲得への最短ルートです。

慢性肝炎や肝がんにおける「20年」の起算点

B型肝炎ウイルスによって慢性肝炎、肝硬変、肝がんを発症された方にとって、給付金の額を大きく左右するのが除斥期間(20年の壁)です。この20年という期間が経過しているかどうかで、受け取れる給付金が大幅に減額されてしまいます。

では、慢性肝炎や肝がんを発症された場合、この「20年」はいつからカウントされるのでしょうか。それは「最初にその病気(慢性肝炎や肝がんなど)と診断され、治療を開始した日」が基準となります。

発症時期を証明する「カルテ」の重要性

起算点が「最初に診断された日」であるということは、その日付を客観的な証拠で国に証明しなければなりません。そこで最も重要になるのが医療機関のカルテ(診療記録)です。

カルテに記載された初診日や、確定診断が下された日が起算点として認定されます。そのため、過去にどの病院で、いつ診断を受けたのかを正確に把握し、そのカルテを取り寄せることがB型肝炎訴訟の手続きにおいて非常に重要となります。

カルテ紛失による起算点後退のリスク

ここで深刻な問題となるのが、カルテの保存期間です。法律上、医療機関におけるカルテの保存義務は5年間と定められており、古いカルテはすでに破棄されているケースが少なくありません。

もし最初に診断された病院のカルテが破棄されていて存在しない場合、次に受診した別の病院のカルテなど、客観的に「発症していた」と証明できる最も古い記録が起算点として扱われることになります。

カルテが見つからないために、実際の初診日とは異なる日付が起算点として認定されてしまうと、場合によっては「20年が経過している」と判断されてしまい、給付金が大幅に減額されるリスク(起算点後退リスク)が生じます。

早めの調査と手続き開始が鍵

カルテが残っているかどうかは、病院に問い合わせてみなければ分かりません。時間が経てば経つほどカルテが破棄される可能性は高くなるため、少しでも早く医療機関の記録を確認することが大切です。

B型肝炎給付金の手続きや対象要件でお悩みの方は、一人で抱え込まず、厚生労働省のB型肝炎訴訟相談窓口(0120-800-024)や法テラス、全国の弁護士会法律相談センターなど、公的な相談窓口のご利用をご検討ください。

🏛️ B型肝炎給付金に関する公的な相談窓口

特定B型肝炎ウイルス感染者給付金の支給要件、必要書類、訴訟手続きなどに関するご相談は、厚生労働省の専門窓口や中立的な公的機関をご利用いただけます。

【主な公的相談窓口】
  • 厚生労働省 B型肝炎訴訟相談窓口: 0120-800-024(平日 9:00〜17:00 / 通話料無料)
  • 法テラス(日本司法支援センター): 0570-078374(平日 9:00〜21:00、土曜 9:00〜17:00)
  • 各都道府県の弁護士会: 全国の弁護士会法律相談センターにて専門相談窓口が開設されています。
弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、交通事故の賠償問題をはじめ、事業者様を狙う求人広告詐欺の被害救済やオフィス・テナント等の原状回復トラブルなど、不測の事態に直面した皆様の精神的・経済的なご負担を少しでも和らげ、正当な権利の実現と円満な解決へと導くためのサポートを徹底して行っています。

TOP