この記事の要点まとめ
連絡がつかない相続人がいる場合、家庭裁判所で不在者財産管理人を選任して全員の同意で和解金を受領する手続きを解説します。
行方不明の相続人がいると和解金の受け取りができません
B型肝炎の給付金(和解金)は、お亡くなりになった感染者の方の「相続財産(遺産)」として扱われます。そのため、国から和解金を受け取るためには、原則として「法定相続人全員」が話し合い、誰がどの割合で受け取るかを決める「遺産分割協議」を行わなければなりません。
ここで大きな壁となるのが、「相続人の中に、長年音信不通で行方不明になっている方がいる場合」です。
戸籍をたどって住所(住民票上の所在地)を調べてお手紙を送っても、宛先不明で戻ってきてしまう。現地に足を運んでも、すでに別の方が住んでいる。このように「どこにいるか全く分からない(連絡がつかない)相続人」が一人でもいると、全員の同意が必要な遺産分割協議が成立せず、国から和解金を受け取る手続きが完全にストップしてしまいます。
不在者財産管理人制度を活用する
このような「行方不明で連絡がつかない相続人」がいる場合に、手続きを前へ進めるための法的な解決策が「不在者財産管理人(ふざいしゃざいさんかんりにん)」の選任です。
不在者財産管理人とは、文字通り「そこにおらず、財産の管理ができない人(不在者)」に代わって、家庭裁判所から選任され、その財産を管理・保存する人のことを指します。この制度を利用することで、行方不明の親族の代わりに不在者財産管理人が遺産分割協議に参加できるようになり、和解金の受け取り手続きを進めることが可能になります。
不在者財産管理人が選任されるまでの流れ
1. 家庭裁判所への選任申し立て 行方不明者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対し、他の相続人から「不在者財産管理人の選任申立」を行います。この際、戸籍謄本や住民票の除票、これまでの捜索状況をまとめた報告書などを提出し、「客観的に見て行方不明であること」を裁判所に認めてもらう必要があります。
2. 管理人の選任と権限外行為の許可 裁判所は事案を審査し、適切な人物(弁護士や司法書士などの専門家、あるいは利害関係のない親族など)を不在者財産管理人に選任します。さらに、この管理人が遺産分割協議に参加するためには、裁判所から「権限外行為の許可」という特別なお墨付きをもらう必要があります。
3. 遺産分割協議の成立と和解金の受領 裁判所の許可を得た不在者財産管理人が、行方不明者に代わって遺産分割協議書に署名・捺印します。(※このとき、行方不明者の法定相続分はしっかりと確保・保全される内容にする必要があります。)これで「全員の同意」が法的に揃ったことになり、無事に国から和解金を受領することができます。
まとめ:複雑な相続トラブルも弁護士が解決へと導きます
「不在者財産管理人の選任」や「権限外行為の許可申立」は、家庭裁判所での厳格な手続きが求められ、ご自身だけで対応するのは非常にハードルが高い作業です。行方不明の親族がいるからといって、給付金の受け取りを諦める必要はありません。専門家である弁護士に依頼することで、必要な裁判所手続きをすべて一任することが可能です。
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