【遺言解釈と特措法の運用】ただし、一般的な財産の包括遺贈と異なり、特措法に基づく給付金請求権が遺言の対象に含まれるか否かは、遺言書の記載内容や文脈の解釈、さらには国との和解手続における受給権者の範囲といった法的要件が厳格に関わります。詳細な判断には専門的な法的知識が不可欠です。
遺言による第三者への財産遺贈とB型肝炎給付金の関係
B型肝炎訴訟における給付金や賠償金の対象者が亡くなられた場合、そのご遺族が国に対して賠償請求や給付金の支給を求めることができます。この際、「亡くなった方が遺言で第三者にすべての財産を遺贈している場合、B型肝炎給付金は誰のものになるのか?」という疑問が生じることがあります。
特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法(以下、特措法)に基づく給付金請求権は、法的性質として「不法行為に基づく損害賠償請求権」であり、原則として被相続人(亡くなった方)の死亡により相続人に承継される相続財産となります。
給付金請求権の法的性質:相続財産としての位置づけ
B型肝炎給付金の請求権は、原則として亡くなられたご本人が有していた損害賠償請求権であり、相続財産に含まれます。したがって、遺言書において特定の第三者に全財産を「包括遺贈」する旨が記載されている場合、理論上はその相続財産の範囲や遺言の効力が問題となります。
しかしながら、特措法に基づく給付金は、集団予防接種等における注射器の連続使用により感染した被害者およびその遺族救済を目的とした国家賠償訴訟の和解スキームに基づいています。そのため、一般的な民事上の遺言による処分とは異なり、国との間で和解協議を行い、法律上の要件を満たした特定の遺族のみが受給資格を持つという特則が存在します。
特措法上、給付金を受け取ることができる遺族の範囲や順位は法定されており、単なる民事上の遺言による受遺者がそのまま国の支給対象としての受給権者になるとは限らない点に注意が必要です。遺言書の内容と特措法の規定が交差する複雑な事案では、個別の法的解釈が必要となります。
国際相続が絡む場合の複雑さ
さらに、遺言者が海外に居住していた場合や、受遺者(財産を受け取る人)が海外にいる場合、どの国の法律を適用するのか(準拠法)という国際相続のルールが適用されます。遺言の方式が有効かどうか、現地の法律での解釈など、日本国内だけの相続とは比べ物にならないほど複雑になります。
また、遺留分(法定相続人に最低限保障された遺産の取得分)の請求が絡む場合もあり、遺族間で意見が対立するケースも少なくありません。
特措法に基づく提訴期限は2027年3月31日と定められています。期限内に適切な訴訟提起および和解手続きを行う必要がありますので、給付金の手続きや対象要件、遺言との関係でお悩みの方は、一人で抱え込まず、専門の弁護士や公的な相談窓口へご相談ください。

