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相続放棄をした遺族でも「二次感染者(自分自身)」として個別に提訴できる理由

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法、基本合意書、裁判実務および厚生労働省の最新手続基準に基づき、法律実務の視点からわかりやすく解説しています。

Q 「親の借金で相続放棄をしましたが、母から感染したB型肝炎の給付金は請求できますか?」
A 【結論と理由】親の遺産について相続放棄をした場合でも、ご自身が母からの母子感染による「二次感染者」であるならば、親の負債とは無関係に固有の権利として個別の給付金を請求して受給することができます
【手続きのポイント】相続放棄はあくまで「相続財産(借金など)」の放棄であり、国家に対するB型肝炎訴訟の損害賠償請求権(被害者本人の権利)は消滅しません。ただし、母の一次感染や自身の二次感染を証明するカルテなどの立証資料が必要となるため、正確な手続きを進めるためにはB型肝炎訴訟に精通した弁護士への相談をおすすめします。

相続放棄をしても「二次感染者」としての提訴は可能なのか?

B型肝炎に感染していた親が多額の借金を残して亡くなった場合、ご遺族は借金を背負わないために家庭裁判所で「相続放棄」の手続きを行うことがあります。 その一方で、ご遺族自身も母子感染などによってB型肝炎ウイルスに感染しているケース(二次感染者)があります。このとき、「親の遺産を相続放棄してしまったから、自分自身のB型肝炎給付金も請求できなくなるのではないか?」と心配される方がいらっしゃいますが、結論から言えば心配ご無用です。

相続放棄をした遺族であっても、ご自身が「二次感染者」としての条件を満たしているのであれば、国に対してB型肝炎給付金を個別に請求し、受け取ることができます。

「固有の権利」と「相続した権利」の違い

なぜ相続放棄をしても給付金を受け取れるのかを理解するためには、「誰の権利を行使しているか」を区別する必要があります。

まず、親ご自身が国に対して持っていた給付金の請求権(一次感染者としての権利)は、親の財産として扱われます。したがって、相続放棄をした場合はこの権利も放棄したことになり、親の分の給付金を受け取ることはできなくなります。

しかし、ご遺族ご自身が二次感染者として国に請求する権利は、親から引き継いだものではなく、あなた自身が直接被害を受けたことで発生した「固有の損害賠償請求権」です。これはあなたの財産であり、親の遺産ではありません。そのため、親の遺産を相続放棄したかどうかには全く影響されず、堂々とご自身の権利として給付金を請求できるのです。

二次感染者として給付金を請求するための条件

二次感染者として給付金を受け取るためには、以下の条件を裁判所で立証する必要があります。

  1. 母親が一次感染者(集団予防接種等により感染した方)の条件を満たすこと

  2. ご自身がB型肝炎ウイルスに持続感染していること

  3. 母子感染(または父子感染などの二次感染)であること

これらの立証には、母親の血液検査結果(HBe抗原などのデータ)や、ご自身の医療記録などが必要になります。親がお亡くなりになっている場合でも、残された医療記録やご自身の検査結果から因果関係を証明できるケースは多くあります。

複雑なケースも専門の弁護士へご相談を

親の相続放棄が絡むケースや、親が亡くなっている状況での二次感染の証明は、法的な判断と医学的な証拠集めの両方が求められる非常に複雑な手続きとなります。ご自身だけで悩まず、専門家にご相談いただくのが確実な方法です。

B型肝炎給付金の手続きや対象要件でお悩みの方は、一人で抱え込まず、厚生労働省のB型肝炎訴訟相談窓口(0120-800-024)や法テラス、全国の弁護士会法律相談センターなど、公的な相談窓口のご利用をご検討ください。

🏛️ B型肝炎給付金に関する公的な相談窓口

特定B型肝炎ウイルス感染者給付金の支給要件、必要書類、訴訟手続きなどに関するご相談は、厚生労働省の専門窓口や中立的な公的機関をご利用いただけます。

【主な公的相談窓口】
  • 厚生労働省 B型肝炎訴訟相談窓口: 0120-800-024(平日 9:00〜17:00 / 通話料無料)
  • 法テラス(日本司法支援センター): 0570-078374(平日 9:00〜21:00、土曜 9:00〜17:00)
  • 各都道府県の弁護士会: 全国の弁護士会法律相談センターにて専門相談窓口が開設されています。
弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、交通事故の賠償問題をはじめ、事業者様を狙う求人広告詐欺の被害救済やオフィス・テナント等の原状回復トラブルなど、不測の事態に直面した皆様の精神的・経済的なご負担を少しでも和らげ、正当な権利の実現と円満な解決へと導くためのサポートを徹底して行っています。

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