提訴期限:2027年3月31日 制度解説 ❯

昭和61年以降の出生でも対象に?
「母子感染防止事業」の開始時期と給付金対象

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法、基本合意書、裁判実務および厚生労働省の最新手続基準に基づき、法律実務の視点からわかりやすく解説しています。

Q 昭和61年以降に生まれた人でもB型肝炎給付金の対象になりますか?
A 【受給の可能性と理由】昭和61年(1986年)以降に生まれた方でも、母親からの母子感染(二次感染)などによりB型肝炎ウイルスに持続感染している場合は、給付金請求の対象となる可能性があります。昭和60年から始まった「母子感染防止事業」の開始後もすべての感染を完全に防げたわけではないため、生まれた年だけで対象外と決まることはありません。
【今後の対策と専門家相談のメリット】まずは当時の母子手帳や自身の血液検査結果を確認することが重要です。要件を満たしているか正確に判断するためには専門的な知識が必要となるため、まずは弁護士などの専門家に相談し、資料収集や訴訟手続きのサポートを受けることを強くおすすめします。

昭和61年以降生まれでも給付金の対象になる?

B型肝炎給付金制度において、直接的に集団予防接種等で感染した「一次感染者」の対象となるのは、「昭和16年7月2日から昭和63年1月27日までに生まれた方」です。 しかし、この期間を過ぎて生まれた昭和61年以降(あるいは平成以降)生まれの方でも、「二次感染者(母子感染・父子感染)」「三次感染者(孫への感染)」として給付金の対象になる可能性があります。

ここで重要になってくるのが、国が実施した「母子感染防止事業」の存在です。

母子感染防止事業とは

国は、B型肝炎の母子感染(母親から子どもへの感染)を防ぐため、昭和60年(1985年)11月から「母子感染防止事業」をスタートさせました。 これは、妊婦健診で母親がB型肝炎ウイルスに感染しているかどうかを検査し、陽性であった場合には、生まれた赤ちゃんに直ちにワクチン(B型肝炎免疫グロブリンなど)を投与するという画期的な取り組みです。

この事業が全国で定着した昭和61年以降、B型肝炎の新規の母子感染(持続感染)は激減しました。 そのため、「昭和61年以降に生まれた方は、母子感染防止措置がとられているはずだから、母子感染による持続感染は起こりにくい」という一般的な医学的推測が成り立ちます。

給付金対象となるためのハードルと証明

昭和61年以降に生まれ、自分が二次感染者(母子感染)であると主張して給付金を請求する場合、国からは「なぜ母子感染防止事業の対象世代なのに母子感染してしまったのか?」という点について、厳しい確認が入ることがあります。

この場合、以下のような事情を証明する必要があります。

  • 母子感染防止措置が適切に行われなかった事実: 母親の出産時のカルテや母子健康手帳の記録から、何らかの理由でワクチン投与が漏れてしまった、あるいは投与されたが抗体ができず感染を防げなかったという記録を提出します。

  • 確実に母子感染であることの医学的証明: 母親と自身のウイルスの型(塩基配列)が一致していることなどを証明し、予防接種などの別の原因ではなく、確実に母親からの感染であることを立証します。

昭和61年以降生まれの方の二次感染証明は、資料の収集と医学的な主張がより高度になる傾向があります。

諦めずにご相談ください

「若い世代だから対象外だろう」「母子感染防止事業があった時代に生まれたから無理かもしれない」とご自身で判断し、請求を諦めてしまうのはもったいないことです。条件を満たし、適切な証拠を揃えれば、和解への道は開かれています。

B型肝炎給付金の手続きや対象要件でお悩みの方は、一人で抱え込まず、厚生労働省のB型肝炎訴訟相談窓口(0120-800-024)や法テラス、全国の弁護士会法律相談センターなど、公的な相談窓口のご利用をご検討ください。

🏛️ B型肝炎給付金に関する公的な相談窓口

特定B型肝炎ウイルス感染者給付金の支給要件、必要書類、訴訟手続きなどに関するご相談は、厚生労働省の専門窓口や中立的な公的機関をご利用いただけます。

【主な公的相談窓口】
  • 厚生労働省 B型肝炎訴訟相談窓口: 0120-800-024(平日 9:00〜17:00 / 通話料無料)
  • 法テラス(日本司法支援センター): 0570-078374(平日 9:00〜21:00、土曜 9:00〜17:00)
  • 各都道府県の弁護士会: 全国の弁護士会法律相談センターにて専門相談窓口が開設されています。
弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、交通事故の賠償問題をはじめ、事業者様を狙う求人広告詐欺の被害救済やオフィス・テナント等の原状回復トラブルなど、不測の事態に直面した皆様の精神的・経済的なご負担を少しでも和らげ、正当な権利の実現と円満な解決へと導くためのサポートを徹底して行っています。

TOP