ウルソデオキシコール酸(ウルソ)の処方履歴のみで「慢性肝炎」と認められるか?
ウルソ単独処方時の扱い、血液検査(ALT連続異常)と組み合わせた慢性肝炎認定の境界線。
ウルソ単独処方と慢性肝炎の証明の壁
B型肝炎訴訟で慢性肝炎の給付金(1,250万円)を請求する際、どのような薬を処方されていたかが非常に重要な証拠となります。テノゼットやゼフィックスなどの「抗ウイルス薬」が処方されていれば、それだけで慢性肝炎の強力な証拠となりますが、「ウルソ(ウルソデオキシコール酸)」のみを処方されている場合は注意が必要です。
ウルソは、胆汁の分泌を促し肝機能を改善する目的で非常に広く使われている飲み薬です。しかし、抗ウイルス薬とは異なり、B型肝炎に特化した薬ではありません。脂肪肝、アルコール性肝障害、あるいは単なる一時的な肝機能低下など、様々な原因に対して比較的軽度な段階から処方される一般的な薬です。
そのため、裁判においては「ウルソが処方されていた」という事実だけでは、「B型慢性肝炎を発症している(いた)」ことの決定的な証明にはならないと判断されてしまいます。
ウルソ処方と血液検査の「合わせ技」で証明する
ウルソの処方履歴単独では不十分だとしても、決して給付金請求を諦める必要はありません。ウルソの服用記録は、「半年以上継続した血液検査の異常(ALT異常)」と組み合わせることで、慢性肝炎を認定するための非常に有効な証拠に変わります。
通常、慢性肝炎を立証するためには「6ヶ月以上の間隔をあけた2つの時点での血液検査(ALT値の異常)」が必要です。しかし、その2つの検査の間に正常な数値に戻っている期間があると、「一時的な異常に過ぎず、慢性化していないのではないか」と国から反論されるリスク(境界線の問題)があります。
このような際、「その期間中、継続してウルソが処方され、内服治療を続けていた」という事実があれば、「一時的に数値が下がっていたのはウルソの薬効によるものであり、根本的な慢性肝炎の状態は継続していた」と主張することが可能になります。
つまり、ウルソの処方記録は、不完全な血液検査のデータを補強し、慢性肝炎認定の境界線を越えるための「つなぎの証拠」として極めて重要な役割を果たすのです。
専門的な判断が必要なケースです
「自分の血液検査の数値で和解基準を満たすのか」「手元にあるお薬手帳の記録が証拠としてどの程度役立つのか」といった判断は、医学と法律の両方の知識が求められるため、ご自身だけで判断するのは非常に困難です。自己判断で「基準を満たしていない」と思い込んでしまうのは大変もったいないことです。
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