【基本】訴状の書き方(請求の趣旨と「よって書」)
2025/04/27 更新
請求の趣旨と「よって書」
訴状には、請求の趣旨とよって書を記載することが必要である。
訴 状 (省略) 第1 請求の趣旨 1 被告は原告に対し100万円及びこれに対する令和5年12月1日から支払済みまで年15%の金員を支払え。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 との判決を求める。 (省略) 第2 請求原因 (省略) 2 金銭消費貸借契約 (1)令和5年6月1日、原告と被告は、原告が被告に、下記の金銭を貸し付ける金銭消費貸借契約を締結した(甲4)。 貸付額 100万円 返済日 令和5年11月末日 100万円を一括で返済する。(甲4の第2条) 遅延損害金 賃料の遅延損害金は、年15%である(甲4の第8条)。 (2)令和5年6月1日、原告は被告に対し、送金の方法で100万円を交付した(甲5)。 (省略) 4 結論 (1)よって、原告は被告に対し、消費貸借契約に基づく返還請求権として100万円及びこれに対する令和5年12月1日から支払済みまで年15%の遅延損害金の支払いを請求する。 以上 |
請求の趣旨
(1)請求の趣旨は、原告の請求の結論を記載したものである。「よって書き」と内容が実質的に同一である必要がある。
(2)「よって書き」では、訴訟物を明示する必要がある。
請求の趣旨
1 被告は原告に対し100万円及びこれに対する令和5年12月1日から支払済みまで15%の金員を支払え。 |
よって書き
よって、原告は被告に対し、消費貸借契約に基づく返還請求権として100万円及びこれに対する令和5年12月1日から支払済みまで年15%の遅延損害金の支払いを請求する。 |
遅延損害金の記載
(1)遅延損害金の発生日
不法行為と債務不履行では遅延損害金の発生日が異なるので注意する。
(2)不法行為に基づく損害賠償請求
不法行為に基づく損賠賠償請求の場合、不法行為時(例えば、令和5年12月31日が交通事故の発生日であれば、同日)からの年3分の遅延損害金を請求することなる。
例 「被告は原告に対し金100万円及びこれに対する令和5年12月31日から支払い済みまでの年3分の割合による金員を支払え」 |
(3)履行請求権(その1)
例えば、貸金返還請求権は、返済日の翌日から、遅延損害金が発生する。(これは履行請求権利である。)
返済日が令和5年12月31日で、かつ、遅延損害金の合意が10%であれば、以下のとおとりなる。
例 「被告は原告に対し金100万円及びこれに対する令和6年1月1日から支払い済みまでの年10分の割合による金員を支払え」 |
(3)履行遅滞に基づく損賠賠償請求(その1)
例えば、履行遅滞に基づく損害賠償請求権は、履行請求権そのものではなく、履行を受けれないことから新たに損害賠償請求権が発生する。したがって、これは、(履行の請求を受けた時から期限が到来しその翌日から遅滞となる)期限の定めのない債務である。つまり、履行の請求をする内容証明を送付したというような事情がなければ、「訴状送達の翌日から支払い済みまで」と記載することとなる。
例 「被告は原告に対し金100万円及びこれに対する訴状送達の翌日から支払い済みまでの年10分の割合による金員を支払え」 |
請求原因との整合性
(1)よって書き(請求の趣旨)と、請求原因が論理的に整合的か問題となる。
(2)多くの場合には、期限、利息、訴訟物(本件では、消費貸借契約に基づく返還請求権)の記載が整合的なのか問題となる。
第2 請求原因 (省略) 2 金銭消費貸借契約 (1)令和5年6月1日、原告と被告は、原告が被告に、下記の金銭を貸し付ける金銭消費貸借契約を締結した(甲4)。 貸付額 100万円 返済日 令和5年11月末日 100万円を一括で返済する。(甲4の第2条) 遅延損害金 賃料の遅延損害金は、年15%である(甲4の第8条)。 (2)令和5年6月1日、原告は被告に対し、送金の方法で100万円を交付した(甲5)。 (省略) 4 結論 (1)よって、原告は被告に対し、消費貸借契約に基づく返還請求権として100万円及びこれに対する令和5年12月1日から支払済みまで年15%の遅延損害金の支払いを請求する。 |