【実務】ウェブの期日(期日の運用)
2025/04/11 更新
裁判の流れ
(1)民事裁判の期日は、原告と被告が交互に書面や証拠を出し合う期日を経て、尋問、その後に判決と進んで生きます。
原告と被告が交互に書面や証拠を出し合う期日は、争点整理手続ともいわれます。
実際の裁判の期日は、この争点整理手続です。
(3)原告の弁護士、被告の弁護士は、双方が書面で反論し、これを裏付ける証拠を、期日まで提出に提出します。
裁判の期日では、その書面を、原告の弁護士、被告の弁護士、裁判官の三者が読んできていることを前提に、期日では、「①どちらが(原告の弁護士もしくは被告の弁護士)が書面を書くのか、②書面の提出日はいつか、③次回期日はいつか」を決めます。
ウェブの期日
(1)裁判の期日ですが、原告側の弁護士は弁護士事務所で、被告側の弁護士は弁護士事務所で、裁判官は裁判所にいて、ウェブ会議によって期日を開くことがほとんどです。手続としては、弁論準備手続となります。
(2)この場合、マイクロソフトのチームズというソフトを使って、パソコン上で裁判期日を行います。
(3)ウェブ会議システムを使いますので、相手方弁護士、裁判官の顔が見えます。
口頭議論と、ノンコミットメントルール
1 口頭議論
(1)裁判の期日では、以下のことをして、争点整理をするべきといわれています。
裁判の期日にて、相手方の書面について、口頭で質問することがあります。
口頭で、争点や、重要な証拠を確認することがあります。
相手方が持っている証拠の提出をお願いすることがあります。
2 ノン・コミットメントルール
自由な発言を保障するために、口頭で話した内容については、自由に撤回できるという原則があります。
これは、ノンコミットメントルールといいます。
裁判の流れ
1 弁護士事務所での会議
(1)ウェブ期日で裁判を開く場合には、弁護士は、弁護士事務所の自分のパソコンの前で待機し、呼出を待ちます。
(2)パソコンでは、裁判官や、相手方弁護士の顔が映り期日がスタートします。
解説 (1)ウェブ会議による期日では、マイクロソフトのチームズというソフトを使って、パソコン上で裁判期日を行います。 (2)ウェブ会議システムを使いますので、相手方弁護士、裁判官の顔が見えます。 (3)原告の弁護士、被告の弁護士はそれぞれの弁護士事務所に、裁判官は裁判所に居ながら裁判上の期日を開きます。 |
2 実際の裁判の様子
裁判官
「原告代理人、名前と現在どこから参加なのか、回答してください。」
原告代理人
「原告代理人の山田です。事務所から参加です。」
裁判官
「被告代理人、名前と現在どこから参加なのか、回答してください。」
被告代理人
「被告代理人の吉田です。事務所から参加です。」
裁判官
「提出書面の確認を致します。」
「令和7年8月3日付け原告準備書面3と、甲2から甲4が提出されています。」
「原告代理人、令和7年8月3日付け原告準備書面3を陳述でよろしいでしょうか。」
原告代理人
「陳述します。」
裁判官
「甲2は原本なので、取り調べを留保します。」
「甲3と甲4は写しなので、本日の期日で取り調べたことにさせて頂きます。
解説 (1)裁判では、期日前に書面を提出します。 裁判の期日では、その書面を、原告の弁護士、被告の弁護士、裁判官の三者が読んできていることを前提に、同日に、当事者が期日に出席して、「その書面を陳述します。」という発言をして初めて、法律上、書面が提出されたと扱います。 (2)裁判では、期日前に証拠を提出します。 裁判の期日では、その証拠を、原告の弁護士、被告の弁護士、裁判官の三者は、事実上これを検討します。 原本として、提出される証拠は、期日にて、裁判所が原本を確認して、事前に提出された証拠のコピーと、証拠原の内容が同じであることを確認して、その期日にて証拠として提出されたと扱います。 本件では、ウェブ期日であっために、裁判所に証拠原本を見てもらうことはできません。 したがって、後日、当事者が裁判所に出頭した日に、その日に提出されたと扱います。 (3)写しとして提出された証拠は、期日にて、裁判所がこれを取り調べた、と発言して、法律上はその日に取り調べたと扱います。 (4)本件は、弁論準備期日でウェブ会議がされているという前提です。したがって、書面の提出も、写しの証拠の提出は許されました。 (5)これに対して、ウェブ会議の手続では、原本の同一性が確認できないので、原本の写しは後日、取り調べることができます。 |
裁判官
「被告代理人は、令和7年8月3日付け原告準備書面3について、ご意見ありますか。」
被告代理人
「1点だけ確認したことがございます。3頁の第5については、◯◯という意味と理解してもよいでしょうか。」
裁判官
「原告代理人はお答え頂けますか。」
原告代理人
「◯◯です。」
被告代理人
「ありがとうございます。」
口頭議論 裁判の期日にて、相手方の書面について、口頭で質問することがあります。 口頭で、争点や、重要な証拠を確認することがあります。 相手方が持っている証拠の提出をお願いすることがあります。 ノン・コミットメントルール 自由な発言を保障するために、口頭で話した内容については、自由に撤回できるという原則があります。 |
裁判官
「被告代理人。それでは、今回の原告の書面について、被告が反論を書くという進行でよいでしょうか。」
被告代理人
「問題ございません。」
裁判官
「原告代理人はどうですか。」
原告代理人
「しかるべく、でお願いします。」
裁判官
「では、次回期日の調整を行います。」
「被告代理人はいつまでに書面を提出頂けますか。」
被告代理人
「1ヶ月は下さい。」
裁判官
「そうしますと、書面の提出日を◯日として、次回期日を翌週ぐらいに入れたいと思います。」
「裁判所の都合で恐縮ですが、◯月△日11時はどうでしょうか。」
被告代理人
「大丈夫です。」
原告代理人
「その時間帯でお願いします。」
裁判官
「それでは、次回期日は、◯月△日11時、弁論準備期日のウェブ会議で行います。」
「双方ご準備をお願いします」
という形で終わります。