【実務】訴えの変更
2025/04/11 更新
訴えの変更
(1)訴訟係属中に、訴訟物を変更する場合には、訴えの変更の手続が必要です(143条)。
(2)例えば、債務不履行に基づく損害賠償請求を、不法行為に基づく損害賠償請求にすることは訴訟物の変更となり、訴えの変更が必要になります。
(3)訴えの変更の性質は、新しい訴訟の提起となるので、送達の手続が必要です。
民事訴訟法143条(訴えの変更) 1項 原告は、請求の基礎に変更がない限り、口頭弁論の終結に至るまで、請求又は請求の原因を変更することができる。ただし、これにより著しく訴訟手続を遅滞させることとなるときは、この限りでない。 2項 請求の変更は、書面でしなければならない。 3項 前項の書面は、相手方に送達しなければならない。 4項 裁判所は、請求又は請求の原因の変更を不当であると認めるときは、申立てにより又は職権で、その変更を許さない旨の決定をしなければならない |
送達
(1)訴状、反訴状、訴えの変更申立書については、原告(反訴原告)が被告(反訴被告)に郵送するのではなく、裁判所に一度送った後に、裁判所が、送達の方法で被告(反訴被告)に送ります。
(2)訴えの変更申立書や、反訴は、新しい訴訟の提起となるので、上記の送達の手続が必要になります。
請求の基礎に変更がないこと
(1)訴えの変更は、「請求の基礎に変更がないこと」が必要です。
(2)「請求の基礎に変更がないこと」は、従前の訴訟と紛争の本質や争点に大きな変更がないことを要求するための要件です。
請求額の減額
(1)一部請求後に残部請求をする場合には訴訟物が別だと考えることから、請求額の増額請求については別の訴訟物を加える訴えであるから、訴えの変更の手続が必要となります。
(2)これに対して、減額請求は、一部の請求の取り下げであり、訴えの変更ではなく「訴えの取下げ」(民事訴訟法261条)の手続の規律に従うことになります。