ご質問・ご相談などお気軽にお問い合わせください。

TEL 06-6773-9114

FAX 06-6773-9115

受付時間 : 平日10:00 ~18:00 土日祝除く

メールでの
お問い合わせ

民事訴訟

【実務】送達と実務

2025/04/13 更新

送達

(1)送達は、裁判所が当事者に対し、訴状、判決などの重要な訴訟資料を送る手続です。

(2)裁判手続において、特に重要な書類の送付は、送達という手段をとります。
 訴状、反訴状、訴えの変更申立書、判決、和解書については、原告(反訴原告)が被告(反訴被告)に郵送するのではなく、裁判所に一度送った後に、裁判所が、送達の方法で被告(反訴被告)に送ります。

送達される文書
 訴状、訴えの変更申立書、反訴
 判決、和解調書

(4)これに対して、準備書面や証拠については、直接、FAXまたは郵送します。裁判所を介さずに、書類の送付するという意味で、直送(ちょくそう)とも呼ばれます。この場合にも、例えば、原告が被告に書類をFAXする場合には、裁判所と、被告の両方にFAXして同じものを送ります。

直送される文書
 答弁書や準備書面
 証拠

送達の種類

 実務上、送達で多いのは、(1)特別送達、(2)裁判所書記官送達、(3)付郵便送達、(4)公示送達です。

特別送達

(1)特別送達では、郵便局の職員が被告の自宅等に行って、直接、被告等に書類を手渡します。もしくは、不在表を置いておき、被告等が郵便局に取り行きます。

 そして、郵便局の職員は裁判所に対し、「書類を被告に渡した。」ことを報告します。

 これによって、裁判所は、書類が被告に届いたことを確認します。

(2)これを特別送達と言い、実務的には原則的な送達方法です。

付郵便送達

(1)特別送達にて、訴状を送っても、相手が訴状を受け取らないケースがあります。その場合には、個人であれば住民票の住所を、法人であれば法人登記簿上の所在地を調査する必要があります。

 例えば、原告の弁護士が被告の住所に行って、被告が住民票に住んでいることを確認できた場合には、そのことを裁判所に報告書をします。

 具体的には、表札(住民票の氏名が表札に書かれていること)、郵便物(郵便物が溜まっておらず、誰かがちゃんと受け取っていること)、電気メーターが動いていること、近所の人から話を聞いて、報告します。

(2)「その場所に住んでいる。」との報告書があるので、裁判所は、被告のポストに書類が届いたことをもって送達完了とします。これを付郵便送達といいます(107条)。

公示送達

(1)公示送達では、原告の弁護士が住民票の住所を、法人であれば法人登記簿の上の所在地に行って、「被告が夜逃げして、どこにいるか分からない。」と裁判所に報告書を出します。
 住民票上の住所(法人登記の状の住所)に他の人が入居していること(例えば、表札)や、近所の人から話を聞いて、報告します。

(2)公示送達では、「その人がどこに住んでいるか分からない。」ので、裁判所に呼出状を貼り付けることで、法律上「送達した」と扱います(110条)。

付郵便送達と、公示送達の違い
(1)住民票上の住所(法人登記の状の住所)に行って、現地調査するまでは一緒です。
(2)「被告がその住所に住んであるが、居留守を使って、書類を受け取っていないだけである」場合には、付郵便送達となります。
(3)これに対して、被告がその住所におらず、所在不明であるとなれば、公示送達となります。

裁判所書記官送達

(1)裁判所書記官送達では、裁判所(裁判所書記官)が当事者に連絡して、裁判所まで書類を取りに来てもらいます。そして、当事者は裁判所で書類を受け取ったときに、受領書にサインします(100条)。

(2)判決や、和解書の場合には、この方法で送達する(当事者に渡す)ことも多いです。

1 送達の問題
(1)送達が無効である場合に、当事者はどのように救済されるか。
(2)問題の本質は訴状の送達を受けておらず、反論の機会がなかったことである。
2 学説
(1)訴状の送達等が無効であっても、形式的には既判力が生じている。訴状が送達されていないことは、無権代理人が訴訟活動したことで、手続きに関与することができたなかったことに準じる(民事訴訟法338条1項)。誤った既判力の効力を無効にすることを前提とした、再訴によるべきである、という考え方もある。
(2)加えて、民事訴訟法338条1項の但書によれば、控訴が出来る場合には、控訴の手続きによるべきとされている。したがって、控訴の手続ができる場合には、再訴の手続きは使えないという考え方もある。
 もっとも、訴訟送達等がされていない場合には、第一審での手続保障を全く欠くことになるから、同但書は適用されない、という考え方もある。
(3)これに対して、訴状の送達は無効であるから無効な判決には既判力が生じない。既判力を前提とする再訴の手続に限定されない、不当な判決については広く救済を求めるべきであり、控訴の提起、執行訴訟(請求異議の訴え)、再訴どれも利用できる、という考え方もある。

参考
 越山和広「ロジカル演習 民事訴訟法」 120頁
 名津井吉裕ほか「事例で考える民事訴訟法 」4頁以下 

「民事訴訟」トップに戻る

Contact.お問い合わせ

    ※個人情報の取り扱いについては、プライバシーポリシーをご覧ください。