【民法】企業に対する不法行為責任
2025/04/22 更新
企業に対する不法行為責任
企業に対する不法行為責任の追求には、二つの構成が考えられる。
ある個人の不法行為について会社も責任を負う、という構成
(1)ある個人の不法行為について会社も責任を負うという構成である。
(2)例えば、社員が交通事故を起こしたケースでは、その社員(個人)の過失の有無を争点として扱い、民法715条によって、企業への責任を追求する構成である。
(3)例えば、会社法350条の代表取締役の責任もこの構成で利用する。
(4)ある個人の不法行為を争点とすべき場合にはこの構成を利用する。
主な争点 社員(代表取締役)個人の行為が不法行為を構成するか。 会社への請求 715条もしくは、会社法350条 |
会社の不法行為が成立し、代表取締役も責任を負う、という構成
(1)法人は手も足も持たない。しかし、民法は、会社が直接709条の責任を負うことを認めている。
どの社員がどんな行為を行っているかは企業の内部問題であるから、「企業の自身の過失」を認めるべきという見解である。
(2)例えば、企業のビジネスモであるが詐欺的なものであることを理由とする不法行為請求や、現場での安全配慮義務違反を理由とする不法行請求はこれにあたる。
(3)企業の経済活動を特定し、その違法性(不法行為であること)を争点として扱い、会社法429条により、取締役個人に責任追求をする。
(4)ある個人の不法行為を争点とすべき場合にはこの構成を利用する。
主な争点 会社の特定の経済活動が不法行為を構成するか。 取締役への請求 会社法429条 |