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民事訴訟

【民法】会社の社員、代理人、使者との法律行為

2025/04/23 更新

会社の社員、代理人、使者

(1)例えば、企業Aと企業Bが契約したとする。実際には、企業Aの社員と、企業Bの社員が取引を取り仕切っている。

(2)しかし、民事訴訟においては、、A社とB社の取引として整理する。

(3)実務的には、A社の社員がA社の代理人として、B社の社員がB社の代理人として取引ををした、とは整理しない。

(4)これらの理論的な説明としては、「社員は会社の代理人ではなく、社員は使者である。」からと説明される。

民法の理解

1 代理人と使者

(1)代理人は、自己で判断をする者であるが、使者は本人の指示で動く者だとされる。

(2)しかし、代理権の制限された代理人も存在し、使者との違いは明確ではない、といわれます。

(3)なお、Aの使者がAに代わって法律行為をしたとしても、法律上は、単に、A(本人)とBの法律行為として扱います。

参考

 椿寿夫「解説 関連でみる民法1」83頁以下

2 代表取締役

(1)代表取締役も会社の代理人と同じ立場である、といわれる。

 代表取締役が、A社名義でB社と契約をすれば、A社とB社の間で契約が成立する。

(2)代表取締役は会社の手足として動くものであるから、代表者取締役がA会社名義で行った法律行為は、法律上は、単にそのままA社の行為として扱います。

参考

 椿寿夫ほか「解説 新・条文にない民法」70頁

3 民法の理解

 A社の代表取締役、A社の社員、A社の代理人、A社の使者が介入した場合であっても、 「代理権の有無」や「その範囲を超えているか。」が争点となっていない限り、単にAの法律行為として整理することができる。

代理と使者と争点

(1)例えば、AがYを名乗って、XとYの契約を締結した。Xが契約の成立を主張し、Yが否定したとする。

 Xが、「代理(表見代理を含む)として契約が有効である。もしくは、使者として契約が有効である。」と主張したとする。

(2)実務上は、第三者であるAが契約に関与したことを前提にする限りは、どの法律構成をとっても、Yが契約を成立させようと思っていたことを推察させるような事実の有無が争点となる。つまり、どの法律構成をとっても、実際の争点は大きく違わない。

(3)当事者が主張していなくても、裁判所は代理による契約の成立を認定しても弁論主義に反しないとした判例がある(昭和33年7月8日民集12巻11号1740頁)。この判例については、代理でもそれ以外でも争点が変わらないので不意打ちにならないから正当である、という評価をする意見もある。

参考

 「民事訴訟法判例百選(第6版〕)」92頁以下

主要事実としての整理

(1)A社の代表取締役、A社の社員、A社の代理人、A社の使者が介入した場合であっても、 「代理権の有無」や「その範囲を超えているか。」が争点となっていない限り、単にAの法律行為として整理することができる。

(2)裁判所が審理する事実の主張は、当事者が決めることができる(弁論主義)。したがって、当事者がこれを代理であると主張しない限りは、そのまま、単にAの法律行為として整理される。

(3)また、 当事者が代理の主張をしたとしても、「代理権の有無」や「その範囲を超えているか。」が争点となっていない限り、争点整理としては、Aの法律行為として整理されることもあろう。

参考
 長谷部由起子ほか「基礎演習民事訴訟法 <第3版> 」85頁

 

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