【民法】錯誤
2025/04/23 更新
錯誤
1 言動から内心を認定する
(1)民法95条の錯誤とは、内心と表示が不一致であることである。
(2)民事訴訟では、当事者の意思を当事者の言動により認定する。
(3)錯誤とは、「ある行動からみれば、Bしたい。」と考えてるように思えるが、「ある行為からすればAしたい。」と考えていると思える状態のときに成立する。
(4)例えば、当事者は、Aの土地を売却しようとAの土地を訪問して、土壌汚染がないかチェックしたりしていた。しかし、契約書は「土地Bを売る。」と記載されていた場合には、これにあたります。
2 民事訴訟法からみた錯誤
民法95条の錯誤の本質は、Aという行動(から読み取れる内心)と、Bという契約書を作成した(という行動)の不一致にある。
契約書(処分証書)から認定される意思表示
1 二段の推定(民事訴訟法228条の4項)からの結論
(1)処分証書は、意思表示ないし法律行為が記載された文書である。契約書は処分証書である。
(2)処分証書について「真正成立した(形式的証拠能力がある)」、と認定されれば、「本人が(文書に記載された)当該意思表示ないし法律行為をした。」と認定される。
(3)つまり、本人には、そのような意思がないとしても、契約書等を作成してこれに署名等した場合には、当該意思表示ないし法律行為をした、と認定される(効果)。
(4)契約書等に押印する場合(法律文書を自分の意思で作成する者)は、これが契約の成立の証拠になることを自覚して押印する(法律文書を作成する)のが通常であるから、特段の事情がない限り、「本人が(文書に記載された)当該意思表示ないし法律行為をした。」と認定されるからである。
(5)そのような意思がないと主張する者は、当該意思表示ないし法律行為が存在することを前提に、抗弁として、意思能力がないことや、錯誤や、虚偽表示等の主張をすることになる。
参考
田中豊 「事実認定の考え方と実務〔第2版〕」115頁以下
2 民事訴訟法からみた錯誤
以上、民法95条の錯誤の本質は、Aという行動(から読み取れる内心)と、Bという契約書を作成した(という行動)の不一致にある。