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民事訴訟

【基本】既判力

2025/04/21 更新

既判力

(1)既判力は、主文に包括するものに限り生じる(114条1項)。既判力は、当該確定判決に係る訴訟物たる権利又は法律関係の存否について及ぶ。

(2)既判力とは、確定判決が後日の訴訟に及ぼす拘束力である。既判力の作用としては、後日の訴訟にて、当事者が、訴訟物たる権利又は法律関係の存否について争えないこと(消極的作用)と、後日の訴訟にて、裁判所が訴訟物たる権利又は法律関係の存否について矛盾した判断ができないこと(積極的作用)がある。


既判力の時的範囲

(1)既判力の基準時は、当該確定判決に係る訴訟の口頭弁論終結時である 。

(2)確定判決の基準時以後に生じた事由を主張することは、前訴の確定判決の既判力に抵触しない。

既判力の人的範囲

(1)既判力は、当該確定判決に係る訴訟の当事者に限られるのが原則である。

(2)民事訴訟法115条1項に規定される者や訴訟脱退者(48条、50条、51条)にも拡張して及ぶ。

民事訴訟法115条 (確定判決等の効力が及ぶ者の範囲)
1項 確定判決は、次に掲げる者に対してその効力を有する。
 一 当事者
 二 当事者が他人のために原告又は被告となった場合のその他人
 三 前二号に掲げる者の口頭弁論終結後の承継人
 四 前三号に掲げる者のために請求の目的物を所持する者
2項 前項の規定は、仮執行の宣言について準用する

既判力の物的範囲

(1)既判力は、主文に包括するものに限り生じる(114条1項)。

(2)既判力は、当該確定判決に係る訴訟物たる権利又は法律関係の存否について及ぶ。

(3)相殺の主張を除いて(114条2項)、既判力は理由中の判断には及ばない 。

民事訴訟法114条 (既判力の範囲)
1項 確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有する。
2項 相殺のために主張した請求の成立又は不成立の判断は、相殺をもって対抗した額について既判力を有する。

既判力の物的範囲の例


訴訟物
 令和6年3月3日、AとBが締結した「◯を500万円で売買する」旨の契約契約に基づく、500万円の売買請求権
主文
 被告は原告に対し300万円を支払え。

既判力が及ぶ範囲
(1)「令和6年3月3日、AとBが締結した「◯を500万円で売買する」旨の契約契約に基づく売買請求権(300万円)が存在すること及び、同額を超えて存在しないこと」が既判力の客観的範囲である。
(2)後日の訴訟にて、当事者は上記について争えない(消極的作用)。
(3)後日の訴訟にて、裁判所が上記と矛盾した判断ができない(積極的作用)。

既判力の作用と、具体的なケース

1 基準時の権利の存否についての主張

 例えば、確定判決で存在しないとされた権利について、既判力が及ぶ当事者間の後訴において、それが基準時に存在したと主張することは、前訴の確定判決の既判力に抵触して許されない(消極的作用)。

 例えば、確定判決で存在した権利について、既判力が及ぶ当事者間の後訴において、確定判決で確定していることを主張すれば、(既判力は職権調査事項であるから)その事実は存在すると認定される(積極的作用)。

2 前訴と同一の訴訟物での訴訟提起

(1)前訴で敗訴した原告が、 同一の訴訟物で、 同一の被告に対し後訴を提起した場合、請求は棄却される。

(2)前訴で勝訴した原告が、同一の訴訟物で、 同一の被告に対し、後訴を提起した場合には、(時効の完成猶予等の特別な事由がない限り) 訴えの利益が欠けるから、訴えが却下される。

参考

 岡口基一「要件事実マニュアル(第7版)第1巻 総論・民法1」131頁以下

 

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