ご質問・ご相談などお気軽にお問い合わせください。

TEL 06-6773-9114

FAX 06-6773-9115

受付時間 : 平日10:00 ~18:00 土日祝除く

メールでの
お問い合わせ

民事訴訟

【論点】訴えの利益と実務

2025/04/05 更新

訴えの利益

訴えの利益

(1)訴えの利益とは、訴訟物たる権利関係、法律関係について本案件判決をすることの必要かつ適切であることをいう。

(2)訴えの利益は、無駄な訴訟を無くして、裁判所や被告の負担を減らす役割がある。

現在の給付の訴え

(1)現在の給付の訴えは、給付を請求する地位にあるのに現に給付を受けていないと主張するものであるから訴えの利益が認められる。

(2)もっとも、既に、判決を得ている場合には、時効中断のため等の理由がない限り、訴えの利益が認められない。

参考

 高橋宏志「重点講義民事訴訟法(上)第2版補訂版」315頁

形成の訴え

(1)民法770条が定める離婚事由があると裁判所が認めれば、離婚という法律関係が形成される。このような新たな法律関係の形成を求める訴えを形成の訴えという。

(2)形成の訴えについては、法律が必要であるとして個別に定めを設けたものであり、その要件を満たすと主張される限り原則として訴えの利益が認められる。

確認の訴え

(1)確認の訴えとは、ある権利関係、法律関係について本案件判決をすることが、原告の権利、法律関係に現存する不安危険を除去するために、必要かつ適切であることをいう。

(2)訴えの利益は、不適切な訴訟を選別する機能を有する。訴えの利益は、確認の利益を中心に議論されてきました。

参考
 長谷部 由起子「基本判例から民事訴訟法を学ぶ」60頁

例えば、解雇を争って、労働者の地位を確認する訴えがある。実務的には、解雇等が争われており、労働者の地位の有無に争いがあれば、確認の訴えにおける訴えの利益が認められる。  


請求の趣旨の例

1 原告が被告に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する。
2 被告は原告に対し、令和7年8月より毎月月末限り、本案判決確定に至るまで金20万円を支払え
3 訴訟費用は被告の負担とする。
 との判決並びに2項について仮執行の宣言を求める

将来給付の訴え

(1)将来給付の訴えは、口頭弁論終結時に、期限が到来していない給付の訴えである。

(2)将来の給付の訴えは、あらかじめその請求をする必要がある場合に限り、訴えの利益が認められる(135条)。

(3)具体的には、以下のような場合には、訴えの利益が認めらられる。

第135条 (将来の給付の訴え)
 将来の給付を求める訴えは、あらかじめその請求をする必要がある場合に限り、提起することができる。

紛争の存在

 債務者が債務の存在または態様を争っているときには、将来の給付の訴えが認められる。

継続的または反復的給付の一部不履行

(1)継続的または反復的給付について、債務者がその一部を不履行にしているときには、将来の給付の訴えが認められる。

(2)例えば、総額600万円について毎月10万円×60ヶ月で弁済するという合意があるが、既に、3回分の支払いが滞っているときなどである。

損害が甚大

 履行が少しでも遅れると債務の本旨に従った履行にならない定期行為(民法542条1項4号)や履行遅滞による損害が重大なものとなる扶養料請求の場合には、将来の給付の訴えが認められる。

将来給付の訴えの具体例

継続的不法行為 

(1)不動産が不法占有されている場合,その所有者は,占有者に対し、当該不動産の明渡しと共に、明渡時までの損害賠償 (賃料相当損害金)を請求することができる。この損害賠償請求のうち、口頭弁論終結日の翌日以降の分は将来請求である。 

(2)かかる将来請求が認められる理由は、①同一態様の行為が将来も継続されることが予測されること、②請求権の成否及び額をあらかじめ一義的に明確に認定することができること、③請求権の消滅事由が予め明確になっているため請求異議などでの消滅事由の主張が容易であることである (最大判昭和56年12月16日(最大判昭和56年12月16日民集35巻10号1369頁)。 

無効な解雇後の賃料請求

(1)無効な解雇がされた場合に、①労働者の地位の確認請求と②賃金請求(民536条2項)が併合提起されたときは、②は①の認容判決の確定日までの請求が認められる。
(2)認容判決が確定すれば、その後は任意の賃金の支払がされるのが通常だからから、請求できるの認容判決までである。

代償請求

 本来の給付に代わる代償請求も、本来の債務の存在または態様が争われているから、将来給付の訴えが認められる例とされる。

参考

 岡口基一「要件事実マニュアル(第7版)第1巻 総論・民法1」116頁以下

「民事訴訟」トップに戻る

Contact.お問い合わせ

    ※個人情報の取り扱いについては、プライバシーポリシーをご覧ください。