ご質問・ご相談などお気軽にお問い合わせください。

TEL 06-6773-9114

FAX 06-6773-9115

受付時間 : 平日10:00 ~18:00 土日祝除く

メールでの
お問い合わせ

民事訴訟

【実務】上告審

2025/04/11 更新

上告

(1)上告は、控訴審の判決に不服がある場合に、さらに上級の裁判所において、再度審理してもらう手続きです。

(2)控訴審が高等裁判所である場合には最高裁判所に上告します。控訴審が地方裁判所である場合には、高等裁判所に上告します。

上告理由・上告受理申立理由

1 控訴審との違い

 控訴審では、控訴審の判決に不服があれば控訴できました。より正確には、原審の申立と判決主文を比べて、判決主文が申立より不利益であれば、控訴できました。

2 上告理由

(1)これに対して、上告をするためには上告理由が必要になります。言い換えれば、上告理由がなければ、上告審で審理してもらえません。

(2)例えば、控訴審の判決に憲法違反等があれば上告理由となります。なお、高等裁判所への上告の場合には、重大な法令違反も上告理由となります。

例えば、控訴審の判決に最高裁判例と矛盾する場合や、法令の解釈に関する重要な事項を含む事件(最高裁として統一的な見解を示すことが今後の紛争解決にとって必要であるような裁判上重要な事件)については、上告受理申立理由とされています。

民事訴訟法312条(上告の理由)
1項 上告は、判決に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、することができる。
2項 上告は、次に掲げる事由があることを理由とするときも、することができる。ただし、第四号に掲げる事由については、第三十四条第二項(第五十九条において準用する場合を含む。)の規定による追認があったときは、この限りでない。
 一 法律に従って判決裁判所を構成しなかったこと。
 二 法律により判決に関与することができない裁判官が判決に関与したこと。
 二の二 日本の裁判所の管轄権の専属に関する規定に違反したこと。
 三 専属管轄に関する規定に違反したこと(第六条第一項各号に定める裁判所が第一審の終局判決をした場合において当該訴訟が同項の規定により他の裁判所の専属管轄に属するときを除く。)。
 四 法定代理権、訴訟代理権又は代理人が訴訟行為をするのに必要な授権を欠いたこと。
 五 口頭弁論の公開の規定に違反したこと。
 六 判決に理由を付せず、又は理由に食違いがあること。
3項 高等裁判所にする上告は、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があることを理由とするときも、することができる。

3 上告受理申立事由

 上告受理申立は、民事訴訟318条の要件がある場合に、最高裁判所の裁量にて上告を認めてほしい、との申立となります。

民事訴訟法318条 (上告受理の申立て)
1項 上告をすべき裁判所が最高裁判所である場合には、最高裁判所は、原判決に最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院又は上告裁判所若しくは控訴裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある事件その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められる事件について、申立てにより、決定で、上告審として事件を受理することができる。
2項 前項の申立て(以下「上告受理の申立て」という。)においては、第三百十二条第一項及び第二項に規定する事由を理由とすることができない。
3項 第一項の場合において、最高裁判所は、上告受理の申立ての理由中に重要でないと認めるものがあるときは、これを排除することができる。
4項 第一項の決定があった場合には、上告があったものとみなす。この場合においては、第三百二十条の規定の適用については、上告受理の申立ての理由中前項の規定により排除されたもの以外のものを上告の理由とみなす。
5項 第三百十三条から第三百十五条まで及び第三百十六条第一項の規定は、上告受理の申立てについて準用する。

上告理由等は限定されていること

(1)上告理由等は限定されています。したがって、上告の申立てをされた事件のほとんどは、上告理由等がないとして、不受理の決定等がされます。

 つまり、上告理由がないとして、多くの事件は事案の審理をしてもらえません。

(2)この点をとらえて、日本の裁判所は事実上、2審制であるという人もいます。

上告審するかの判断

(1)控訴すれば、裁判官が変わります。控訴するかどうかの判断基準の一つが別の裁判官が判決を書くことになれば結論が変わる可能性があるからです。

(2)これに対して、上告審の場合には上告理由の検討が必要です。控訴審の判決に最高裁判例と矛盾する場合や、法令の解釈に関する重要な事項を含む事件(最高裁として統一的な見解を示すことが今後の紛争解決に資すると考えるような事件)でなければ上告することは難しいというのが現状です。

上告審での勝訴可能性

 上告審で原判決が破棄されるのは1%程度であり、現実的に上告して高裁の判決が覆ることはほとんどありません(中村直人「訴訟の心得 」141頁)。

「民事訴訟」トップに戻る

Contact.お問い合わせ

    ※個人情報の取り扱いについては、プライバシーポリシーをご覧ください。