症状固定
2022/11/08
症状固定
(1)症状固定とは、治療を継続しても症状の改善が見込めない状態をいいます。
(2)医師が完治しましたと言えば、症状固定です。
(3)後遺症が残ってしまって、これ以上は回復が望めない場合も、症状固定です。
損害賠償請求と症状固定
(1)後遺症が残るのか、治療期間が何か月なのか、これらが決まらないと損害額が決まりません。
(2)交通事故等で損害賠償の交渉は、症状固定までスタートできません。
症状固定を認定するメリット・デメリット
(1)症状固定を認定してもらうメリットは、交通事故等で損害賠償の交渉をスタートできることです。
(2)症状固定を認定されると、今後の治療は認められません。なぜなら、治療を継続しても症状の改善が見込めない状態であり、今後の治療の必要性がない、ということを意味するからです。
なお、特に医師が、症状固定はしているが、後遺症として痛みが残っており、痛み止めの注射が必要である等の特別な判断をすれば、症状固定後の治療費も賠償額に加算されます。
(3)あくまで、症状固定後の治療費については加害者に請求できないことが原則になるということだけです。被害者が自費で治療に行くことは問題ありません。
症状固定の認定
(1)症状固定(治療を継続しても症状の改善が見込めない状態)は、主に医師が判断することです。
(2)ある程度症状が落ち着いた段階で、医師と「症状固定であるかどうか。」「今後も治療を続けるか。」判断することになります。
後遺症の認定方法
(1)後遺症がある場合には、自賠責の後遺障害診断書を医師に渡して記入してもらいます。ここに症状固定の日付が記入されます。
その後は、自賠責の被害者請求の手続きを取ります。
(2)後遺症がない場合には通院を止めばよく、手続きは不要です。加害者への損害賠償請求の際には、全治療期間の診療記録を提出します。そこには、「いつからいつまで治療が必要であった。」ということは書かれており、それで足りるからです。
自賠責の被害者請求
(1)前述したように、後遺症の請求をする場合には、自賠責の被害者請求をします。
(2)加害者が任意保険に入っていない場合にも、自賠責の被害者請求をします。
(3)依頼者の過失割合が多い場合にも、自賠責の被害者請求をします。
(4)加害者が任意保険に加入しており、上記に該当しない場合には、自賠責の手続をしません。
症状固定後の流れ
(1)症状固定後に、各機関に医療記録を取り寄せます。したがって、交通事故等で損害賠償の交渉がスタートできるのは、さらに時間がかかります。
(2)後遺症についての賠償請求をする場合には、さらに、後遺症の認定がされるまで、損害賠償の交渉はスタートできません。
消滅時効に注意
(1)後遺症が認められない場合には、事故から3年で不法行為に基づく損害賠償請求権は時効になります(原則)。
(2)事故から3年が経過したときには、時効の更新のために、調停手続もしくは訴訟手続をとった方がよいでしょう。
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