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夕陽ヶ丘法律事務所ブログ

治療費の立て替え払いと、その中止(1)

2023/01/29

治療費の立て替え払いと、その中止

(1)交通事故の場合、加害者の保険会社が、治療費の立て替え払いをしてくれます。
(2) 任意保険の保険会社が治療費を立替えることを「一括対応」といいます。
(3) 保険会社が「治療の必要性がない。」として、治療費の立て替え払いを中止してくることがあります。

保険会社と交渉

(1)保険会社は、「10月末日で治療の立て替え払いを終了します。」と一方的に連絡してきます。

(2)この場合に、保険会社との間で、「治療が必要であること」と、「治療費の立て替え払い」を継続してほしい、と交渉することになります。

保険会社との交渉のポイント

(1) 「お願い」でもなく、「威圧」でもなく、理由と証拠が大切です。

 保険会社の担当者は、値切りたいわけでなく、会社のルールにしたがっているだけです。
 保険金を支払っても、担当者のお金が出ていくだけではありません。担当者としては、社内のルールや、上司からの命令で仕事をしているだけです。
 「お願い」や「威圧」は意味がありません。したがって、しっかりとした根拠とこれを基礎づける証拠出す、ことが必要です。

(2)「不適法な不支給は、お互いに不幸である。」という前提で交渉します。
 保険会社の許認可のある業種であり、金融庁の監査があります。また、保険については、苦情窓口がいろいろとあります。インターネットで「保険会社 苦情窓口」で検索すればいろいろと調べることができます。

弁護士Aの交渉
 「9月末日に治療費の立て替えを中止する予定と聞いています。しかし、9月15日に診察した医師からは『1か月間は、治療が必費である。』という見解を聞いています。一度、直接、保険会社から病院に確かめてくれませんか。」
 「仮に、このまま、治療を中止された場合には、〇〇等の窓口で相談させて頂きます。」 「治療中止は、お互いでデメリットではないしょうか。」「保険会社としては苦情処理の対応に追われます。」「私の依頼者も治療を受けられなくて、困ってしまいます。」

現在の治療の状況

 病院     〇〇病院

 診察日時   令和5年7月〇日診察

 怪我の状況  首がまだ痛くて、手もしびれている。

 医師の意見  医師は、あと1か月は治療が必要だと言っている。

医師に聞いてはいけないこと

 医師が判断できることは、「〇月〇日に診療して、レントゲンをとったら、骨が折れている。」こと、「その症状と、〇月〇日の交通事故で出来た怪我と矛盾しない。」ことまでです。

 ときどき、医師から「交通事故の怪我である、とは証明できない。」「だから、意見は出せない。」と言われることがあります。

 もちろん、「〇月〇日に、交通事故があって、被害者は頭を打った。」「次の日から、被害者は医院に行って、首が痛いと通院している。」「交通事故の前には、被害者は、その病院には行っていない。(つまり、交通事故の前に怪我した怪我ではないこと)」を前提に、「交通事故を原因とした怪我である。」と認定するのは裁判所の仕事になります。

 したがって、医師には、「いつ診察して、どんな所見があり、被害者がどんなことを訴え、その所見と被害者の訴えが矛盾しないか。」について、質問をしていることを伝えることになります。

(3)質問すれば答えてくれます。(もちろん、担当者によりますが)
 保険会社の担当者は、法令順守を大切にしています。したがって、こちらの疑問を質問すれば、いろいろと教えてもらえることも多いです。

弁護士Aの交渉1
 「治療の打ち切りの原因を教えて下さい。」
 「腰痛については、『交通事故と因果関係がない。』と考えている、ということでしょうか。」
 「『車のへこみ方が小さくて、衝撃が軽微である』から、治療は終わっているはず(完治しているはず)だと考えているのでしょうか。」
 「交通事故から3か月を経過しています。治療は終わっているはず(完治しているはず)だと考えているのでしょうか。」
 「確かに交通事故前から、頸椎を痛めています。したがって、交通事故の前に怪我した怪我であって、本件の交通事故とは因果関係がない、と考えているのでしょうか。」(なお、首を痛めていた人が交通事故にあって、力が加われば、さらに患部を痛めるのは当然です。交通事故がなかったとすれば、今の痛みがあったか、因果関係が問題になります。)

弁護士Aの交渉2
 「医師に聞いたところ、『〇〇という理由で、やはり、交通事故が原因である』とおっしゃっています。」
 「仮に、このまま、治療を中止された場合には、〇〇等の窓口で相談させて頂きます。」 「治療中止は、お互いでデメリットではないしょうか。」「保険会社としては苦情処理の対応に追われます。」「私の依頼者も治療を受けられなくて、困ってしまいます。」

 「もちろん、〇〇さん(交通事故の担当者)の立場も分かります。〇〇さんが上司を説得するために、私の方でどんな書類等を用意すれば決済が通りますか?」

(4)文書を送ろう。

 保険会社の担当者としては、適正に保険金を支払い、逆に、適正以上に保険金を支払ってはなりません。担当者としては、反論が書類で来ると、その反論を否定する根拠を用意できるか検討をせざるを得なくなります。

弁護士Aの交渉

 「●●様のFAX番号を教えてもらえますか。」「無視されるかどうかは別にして、先ほど電話で口頭で話した内容を文書で送りたいと思います。」 

保険会社の立場と書類の提出

(1)保険会社と交渉するうえで、書類の提出は大切です。
 保険会社の担当者としては、適正に保険金を支払い、逆に、適正以上に保険金を支払ってはなりません。
 そして、保険会社の担当者としては、その支払が適切かどうか判断するための資料収集が必要であり、その書類の提をしておかなければ、担当者としては、「とりあえず、立替払いを止める。」という対応をするしかなくなります。
 保険会社から、(保険会社が病院に照会の)同意書、給与明細、その他の資料を求められたら、適切に対応する必要があります。

(2)もちろん、提出した書類は、有利にも不利にもなることがあります。弁護士特約を使って無料で弁護士に依頼 できる場合には、弁護士等に依頼して個別に聞いた方がよいでしょう。

打ち切りと治療費

(1)依頼者の次回診察日と、保険会社の打ち切りの最終判断は確認しておきましょう。

(2)保険会社が立て替え払いの打ち切りをすると、依頼者が治療費を支払う必要が出てきます。

(3)保険会社が立て替え払いしている期間内は、依頼者は、病院等に行ってもお金を支払う必要がありませんでした。

(4)保険会社が立て替え払いを中止した場合には、病院に行く際に治療費を持参する必要があることは必ず、依頼者に伝えましょう。

(5)また、「病院の窓口で、今後は健康保険に切り替えます、と説明する必要があること」、「健康保険証を持って行く必要があること」も必ず伝えるべきです。

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