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予防法務

従業員同士の不仲と会社の義務

2025/01/28 更新

従業員同士の不仲と会社の義務

(1)従業員同士の関係が悪くなって、大きなトラブルになるケースがあります。
(2)会社として、従業員同士の関係が悪くなった場合に、どのように対応すべきでしょうか。

暴行事件

(1)従業員が、他の従業員(被害者側の従業員)に対し暴行を加えた場合、その暴行が「事業の執行について」行われたと認められれば、会社は、被害者側の従業員に対し、使用者責任として損害賠償責任を負わなければなりません(民法715条)。
(2)使用者責任とは、事業で利益を得てる会社は、事業で発生した損失を負担すべきであるという考え方です。したがって、その暴行が「事業の社員間で執行について」行われたかは、その暴行事件が事業と密接に関連するかによって決まります。

平成22年10月29日東京地判
社員間で、業務分担を巡る認識の齟齬を原因として、一方の従業員が他方の従業員に対し暴行を加えた事案で、会社の使用者責任が認められました。

平成30年11月22日横浜地裁川崎支部
社員間で、業務時間内で生じた暴行事件についても、一方の従業員が他の従業員に対し暴行を加えた原因が、暴行前から生じていた両社員間の個人的な感情の対立、嫌悪感の衝突であり、私的な喧嘩として行われたものととして、会社の使用者責任が否定された事例もあります。

うつ等の相談を受けていた事案

(1)従業員同士の関係が悪くなり、一方従業員が他方従業員を追い詰めて、他方従業員がうつ等になることがあります。
(2)従業員同士の対立を知っていただけでは会社の責任は発生しませんが、一方従業員が上司に相談し、その上司が何ら対策を講じなかった場合には会社に責任が生じます。

令和3年2月10日仙台高等裁判所 判例タイムズ1494号70頁以下
 自殺した社員が相談していた上司については、自殺した社員からBの指導について相談を受けていたこと、心療内科に通院しうつ状態であると診断されたこと等を考慮すれば、Aに休職を勧めたり、Aの相談に乗ったりするだけでは足らず、Bに対しこれ以上強く注意しないように指導する等の対応をするべき義務があった。」として、安全配慮義務違反を認めた判例もあります。

会社の義務

(1)従業員同士の関係が悪くなった場合にどうしたら、よいでしょうか。
(2)会社として、従業員同士の関係が悪くなった場合には、上司は自分だけで判断せずに、法務部等と相談して対応できる体制の構築が必要です。

参考
 ビジネスガイド2024年8月号 54頁以下

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