管理人(管理組合)の管理権
2025/03/02 更新
このページを印刷区分所有法の共用部分

区分所有法では、一棟の建物のなかの独立した住居等、それぞれの区分所有者が権利を持つ「専有部分」に対して、専有部分以外の建物の部分を「共用部分」といいます。
区分所有法の「専有部分」
住居、店舗、事務所、倉庫など、物理的に独立し、かつ独立して利用できる部分です。
区分所有法の「共用部分」
排水管、外壁、屋根、玄関、ロビー、機械室、エレベーターは、共用部分です(法定共用部分)。
集会室、倉庫、駐車場、管理人室などは、規約により共用部分とすることができます(規約共用部分)。
管理人(管理組合法人)の選任と、管理権
(1)集会の決議で選任された管理者(民法第252条の2第1項、区分所有法26条2項)や、管理組合法人(区分所有法26条6項)は、共用部分に関する管理権を有します。
(2)具体的には、以下のことができます。
共用部(廊下、エレベーター、ロビー、駐車場など)の維持管理(清掃や修繕)を行う権限があります。
管理費や修繕積立金を決めて、これを徴収し管理する権限があります。
集会を開き、その議事を行う権限があります。
上記のために、取引先と、契約を締結する権限があります。
(3)集会の決議で選任された管理者(区分所有法26条2項、4項)や、管理組合法人(区分所有法26条6項、8項)は、上記に関する訴訟の原告および被告になることができます(任意的訴訟担当)。
- 区分所有法26条
- 1項 管理者は、共用部分並びに第21条に規定する場合における当該建物の敷地及び附属施設(次項及び第47条第6項において「共用部分等」という。)を保存し、集会の決議を実行し、並びに規約で定めた行為をする権利を有し、義務を負う。
2項 管理者は、その職務に関し、区分所有者を代理する。第18条第4項(第21条において準用する場合を含む。)の規定による損害保険契約に基づく保険金額並びに共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領についても、同様とする。
3項 管理者の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
4項 管理者は、規約又は集会の決議により、その職務(第二項後段に規定する事項を含む。)に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができる。
(以下、省略)
管理人(管理組合)の解任請求
各区分所有者は、集会の決議によって管理者(管理組合法人の理事)を選任し、または解任できる(区分所有法25条1項、同49条8項)。また、管理者管理組合法人の理事に不正行為があるときには、各区分所有者は裁判所に解任の訴えを提起できる(区分所有法25条2項、同49条8項)。
- 区分所有法25条
- 1項 区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によつて、管理者を選任し、又は解任することができる。
2項 管理者に不正な行為その他その職務を行うに適しない事情があるときは、各区分所有者は、その解任を裁判所に請求することができる。