Q 債権譲渡について教えて下さい。
2025/12/29 更新
このページを印刷債権譲渡
債権者譲渡は、債権を譲渡するものです。
譲受債権請求訴訟
(1)債務者に対し譲渡された債権について、譲受債権請求訴訟を訴訟を提起するには、以下の要件を満たすことが必要です。(民法466条)。
①譲渡された債権の存在
②①の債権を譲渡する契約等の存在)
(2)譲受債権請求訴訟の訴訟物は、「①譲渡された債権の存在」です。
将来債権
債権譲渡のときに発生していない将来債権も、譲渡の対象となります(民法466条の6)。
債権譲渡の禁止の特約を理由とする履行の拒絶
(1)債権譲渡の禁止の特約の付いた債権についてもその譲渡は有効です(民法466条2項)。しかし、譲受人が(債権譲渡の禁止特約が存在していたことを)知っていた(悪意)場合もしくは、重大な過失によって知らなかった(重過失)場合には、債務者は、その債務の履行を拒むことができる(民法466条3項)。
(2)債務者が債権譲渡について、(債権が譲渡されたことを)承諾した場合には、上記を理由に支払いを拒めない。
(3)また、譲受人が債務者に履行の催促をし、債務者がその履行をしない場合には、(1)を理由に支払いを拒めない(民法466条4項)。
債権譲渡人に対抗し得る事由を理由とする履行の拒絶
(1)債務者は、対抗要件具備時よりも前の原因に基づく事由をもって譲受人に対抗することができる(民法468条1項)。
例えば、売買代金請求債権があるとして、その代金の期限の利益があるときには、債務者はこれを理由に支払いを拒否できる。同じく、その売買契約が解除された場合には、債務者はこれを理由に支払いを拒否できる。
(2)債権者は、対抗要件具備よりも前に取得した債権により相殺を主張できる(民法469条1項)。
譲渡に先立つ弁済を理由とする履行の拒絶
(1)債権譲渡に先立って、債務者が債権譲渡人に弁済すれば、譲受人は債権を取得しない。
参考
岡口基一「要件事実マニュアル(第7版)第1巻 民法1」462頁以下
| 民法466条 債権の譲渡性 1項 債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。 2項 当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(以下「譲渡制限の意思表示」という。)をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。 3項 前項に規定する場合には、譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもってその第三者に対抗することができる。 4項 前項の規定は、債務者が債務を履行しない場合において、同項に規定する第三者が相当の期間を定めて譲渡人への履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、その債務者については、適用しない。 民法466条の6 将来債権の譲渡性 1項 債権の譲渡は、その意思表示の時に債権が現に発生していることを要しない。 2項 債権が譲渡された場合において、その意思表示の時に債権が現に発生していないときは、譲受人は、発生した債権を当然に取得する。 3項 前項に規定する場合において、譲渡人が次条の規定による通知をし、又は債務者が同条の規定による承諾をした時(以下「対抗要件具備時」という。)までに譲渡制限の意思表示がされたときは、譲受人その他の第三者がそのことを知っていたものとみなして、第四百六十六条第三項(譲渡制限の意思表示がされた債権が預貯金債権の場合にあっては、前条第一項)の規定を適用する。 民法467条 債権の譲渡の対抗要件 1項 債権の譲渡(現に発生していない債権の譲渡を含む。)は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。 2項 前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。 民法468条 債権の譲渡における債務者の抗弁 1項 債務者は、対抗要件具備時までに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができる。 2項 第466条第4項の場合における前項の規定の適用については、同項中「対抗要件具備時」とあるのは、「第466条第4項の相当の期間を経過した時」とし、第466条の3の場合における同項の規定の適用については、同項中「対抗要件具備時」とあるのは、「第466条の3の規定により同条の譲受人から供託の請求を受けた時」とする。 民法469条 債権の譲渡における相殺権 1項 債務者は、対抗要件具備時より前に取得した譲渡人に対する債権による相殺をもって譲受人に対抗することができる。 2項 債務者が対抗要件具備時より後に取得した譲渡人に対する債権であっても、その債権が次に掲げるものであるときは、前項と同様とする。ただし、債務者が対抗要件具備時より後に他人の債権を取得したときは、この限りでない。 一 対抗要件具備時より前の原因に基づいて生じた債権 二 前号に掲げるもののほか、譲受人の取得した債権の発生原因である契約に基づいて生じた債権 3項 第466条第4項の場合における前二項の規定の適用については、これらの規定中「対抗要件具備時」とあるのは、「466条第4項の相当の期間を経過した時」とし、第466条の3の場合におけるこれらの規定の適用については、これらの規定中「対抗要件具備時」とあるのは、「第466条の3の三の規定により同条の譲受人から供託の請求を受けた時」とする。 |






