【重要判例】(共同訴訟人の一人が上訴した場合)
2026/04/15 更新
共同訴訟人の一人が上訴した場合
(1)共同訴訟人の一人がした有利な訴訟行為は全員に対して効力が生じます。固有必要的共同訴訟では、一人が上訴すれば、当該訴訟は全体として上訴審に移審する(民事訴訟法40条1項)。
(2)類似必要的共同訴訟においては、共同訴訟人の一人が上訴した場合については、「原判決は確定しないが、他の共同訴訟人は上訴にならない。」という判例があります。つまり、上訴しなかった共同訴訟人も上訴するが、訴訟費用を負担せずに、上訴での訴訟活動を他の共同相続人に委ねるのと同じ結論となります。
しかし、「上訴しなかった共同訴訟人の事件が上訴審に移審するのに、上訴しなかった共同訴訟人が上訴人にならない。」とすることは論理的な一貫性を欠くもしくは、上訴しなかった共同訴訟人の事件が上訴審に移審する理屈が不明確だとされます。(参考 「民事訴訟法判例百選(第6版)201頁)。)
(3)固有必要的共同訴訟でも、今後、判例がどのように考えることにあるのか問題となります。
最判9年4月2日民集51巻4号1673頁
住民訴訟(類似必要的共同訴訟)において、共同訴訟人の一人が上訴した場合でも、他の共同訴訟人は上訴にならないとされました。
「「類似必要的共同訴訟については、共同訴訟人の一部の者がした訴訟行為は、全員の利益においてのみ効力を生ずるとされている(民訴法 62条1項 (現40条1項))。上訴は、上訴審に対して原判決の敗訴部分の是正を求める行為であるから、類似必要的共同訴訟において共同訴訟人の一部の者が上訴すれば、それによって原判決の確定が妨げられ、当該訴訟は全体として上訴審に移審し、上訴審の判決の効力は上訴をしなかった共同訴訟人にも及ぶものと解される。しかしながら、合一確定のためには右の限度で上訴が効力を生ずれば足りるものである上、住民訴訟の前記のような性質にかんがみると、公益の代表者となる意思を失った者に対し、その意思に反してまで上訴人の地位に就き続けることを求めることは、相当でないだけでなく、住民訴訟においては、複数の住民によって提訴された場合であっても、公益の代表者としての共同訴訟人らにより同一の違法な財務会計上の行為又は怠る事実の予防又は是正
を求める公益上の請求がされているのであり、元来提訴者各人が自己の個別的な利益を有しているものではないから、提訴後に共同訴訟人の数が減少しても、その審判の範囲、審理の態様、判決の効力等には何ら影響がない。そうであれば、住民訴訟については、自ら上訴をしなかった共同訴訟人をその意に反して上訴人の地位に就かせる効力までが行政事件訴訟法7条、民訴法 62条1項 (現40条1項))によって生ずると解するのは相当でなく、自ら上訴をしなかった共同訴訟人は、上訴人にはならないものと解すべきである。この理は、いったん上訴をしたがこれを取り下げた共同訴訟人についても当てはまるから、上訴をした共同訴訟人のうちの一部の者が上訴を取り下げても、その者に対する関係において原判決が確定することにはならないが、その者は上訴人ではなくなるものと解される。」
最判12年7月7日民集54巻6号1767頁
株主代表訴訟(類似必要的共同訴訟)において、共同訴訟人の一人が上訴した場合でも、他の共同訴訟人は上訴にならないとされました。
「類似必要的共同訴訟において共同訴訟人の一部の者が上訴すれば、それによって原判決の確定が妨げられ、当該訴訟は全体として上訴審に移審し、上訴審の判決の効力は上訴をしなかった共同訴訟人にも及ぶと解される。しかしな
がら、合一確定のためには右の限度で上訴が効力を生ずれば足りるものである上、取締役の会社に対する責任を追及する株主代表訴訟においては、既に訴訟を追行する意思を失った者に対し、その意思に反してまで上訴人の地位に就くことを求めることは相当でないし、複数の株主によって株主代表訴訟が追行されている場合であっても、株主各人の個別的な利益が直接問題となっているものではないから、提訴後に共同訴訟人たる株主の数が減少しても、その審判の範囲、審理の態様、判決の効力等には影響がない。そうすると、株主代表訴訟については、自ら上訴をしなかった共同訴訟人を上訴人の地位に就かせる効力までが民訴法40条1項によって生ずると解するのは相当でなく、自ら上訴をしなかった共同訴訟人たる株主は、上訴人にはならないものと解すべきである。」
参考
長谷部由起子「基本判例から民事訴訟法を学ぶ」265頁以下






