判例(納骨堂の使用契約の途中解除)
2022/12/29
判例(納骨堂の使用契約の途中解除)
本判決は、以下の判決をしました。
(1)納骨堂の使用契約の法的性質は、お骨等を預かる有償の諾成契約(お骨を保管する契約)と、お骨を預かるための供養を行う役務締約(宗教的な儀式を行う契約)混合契約である。
(2)納骨堂の管理規約には、返還請求ができない旨の記載があるが、消費者契約法9条1号所定の平均的な損害は生じないとして、無効である。
(3)原告は、納骨堂の使用契約の中途解除をしたところ、裁判所は、「納骨堂の使用契約について、お骨等を預かる有償の諾成契約(お骨を保管する契約)について解除を認めたが、お骨を預かるための供養を行う役務締約(宗教的な儀式を行う契約)については履行済みであるから解約は認めない。」ということを理由として、全体の7割の解約を認めました。
令和2年12月10日判決 大阪地方裁判所
判例タイムズ1495号204頁
途中解除と、代金の返還請求
(1)納骨壇使用契約は建物賃貸借契約の性質を中心としつつ準委任契約の性質を併せ持つ混合契約であるとして、民法617条1項前段の適用又は類推適用及び借地借家法28条の反対解釈により,納骨壇の使用者は,いつでも本件納骨壇使用契約の解約の申入れをすることができる、という判例があります。(平成26年 5月27日 東京地裁)。
(2)これに対して、墓地使用契約については、一定期間の使用権を設定するものではなく、永続的ないし永代的な使用権を設定するものであり、墓地使用契約の解約を申し入れたとしても、墓地使用料の返還請求ができないという判例もあります(平成19年6月29日 京都地裁)。
(3)納骨堂の使用契約の途中解除について、代金の返還が認められるか、認められるとしていくら返還されるかについてはいろいろな考え方があります。
本判決の意義
(1)本判決は、納骨堂の使用契約の途中解除について、いろいろな事情を考慮して、代金の7割の返還を認めた判例です。
したがって、納骨堂の使用契約の途中解除について、代金の返還が認められるか、認められるとしていくら返還されるかはケースバイケースです。
(2)なお、本判決は、梅旧院の納骨堂について途中解約を認めた判決です。