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夕陽ヶ丘法律事務所ブログ

専門家である医師に意見を聞きに行く方法

2023/02/11

1 医師に意見を聞きに行く方法

(1)まずは、依頼者から主治医に対し、診察に弁護士が同席することの同意をとってもらいます。

(2)同席の場合には、同意書は不要です。弁護士が同席することで医師としては、患者の個人情報を開示してよいとの同意を客観的状況から判断できるからです。

(3)同席の目的も、「医師の意見を聞きたい。」とそのまま伝えましょう。

2 医師の意見書

(1)医師の意見を聞きに行くということは、医師にヒアリングして、医師の意見書を弁護士側で書くことだとイメージしましょう。

(2)例えば、診断書に「改善の可能性がある。」と記載されていたとします。裁判所としては、どの程度改善可能なのか知りたくなりますし、そのような記載では足りません。医師の意見を法律家の立場で翻訳することが必要になります。

(3)医師から意見を聞いて、その内容をまとめて、医師にハンコを押してもらう、手続と理解すればよいでしょう。

医師の面談の例

弁護士A

 医師B先生、本日はお時間頂きありがとうございました。私は法律家ですが、医学は素人です。自賠責の後遺症の認定についてどういう意味なのか私には分かりません。そこで、医師である先生のご意見を聞きに来ました。

テクニック

 最初に、訪問の理由を簡潔に説明します。

弁護士A

 自賠責の後遺症の認定の書類を見て下さい。

 「ここの前半ですが、所見(体の異常)が見つからない、もしくは、患者が訴えている症状と一致しない。」ということが書かれていると考えてよいでしょうか。

テクニック

 医師に対し「解説して下さい。」と質問しても、医師としてどう答えていいか分からないだろう。

 そこで、弁護士の方から、仮説を立てて、このように理解してよいのか、と聞くと話が弾みます。

医師B

 「そうではなく、●●という所見があるが、既往症もあるので、この●●という所見が交通事故によるものかどうか分からない。」と記載されています。

弁護士A

 まず、●●という所見ですが、これは、患者が訴えている××の症状を生じる原因となると理解してもよいでしょうか。

医師B

 そのように理解してもよいと思います。

弁護士A

 私も、裁判所も、医学の素人です。「●●」という医学用語は、素人の言葉で、「脊髄の神経の圧迫」という表現しても間違いないでしょうか。

医師B

 それでよいと思います。

テクニック

 裁判所に分かる文書を作る必要がある。そうすると、重要な部分については、素人の言葉で言い換えるとどうなるかを確認する必要があります。

弁護士A

 さきほど、問題は、「●●という所見が交通事故によるものかどうか分からない。」ということでしたが、どうやったら、確認できるのですか。

医師B

 交通事故の前に通っている病院のCT、MRIがあれば、これを見比べることになろうかと思います。

弁護士A

 そのほかに、これらを判断するのに使えそうな資料はありますか。

医師B

 交通事故の前に通っている病院のCT、MRIしかないですね。

テクニック

 「目的を達成するために必要な証拠が何か。」を確認しています。

弁護士A

 自賠責の後遺症の認定の書類を見て下さい。

 「ここの後半ですが、後遺症に書かれた右手のしびれが、事故直後の診断書に記載されていない、との指摘があります。」

 事故直後に、左手のしびれがなく、半年たってから、左手のしびれがあるが、この症状が事故の影響だとすれば、どのように説明がつくのでしょうか。

医師B

 診断書に左手のしびれが記載されていません。逆に、右手のしびれが記載されていますので、当時、患者さんは左手のしびれを訴えていなかったのか合理的だと思います。私が記載しなかったということはないと思います。

テクニック

 医師Bが守りにはいってしまった。

 医師Bに責任を追及追をする意向がないことは明確にします。

弁護士A

 医師B先生の記載ミスがあるとは思っていません。

 事故直後に、左手のしびれがなく、半年たってから、左手のしびれがあるが、この症状が事故の影響だとすれば、どのように説明がつくのでしょうか。

医師B

 左手のびれは、交通事故が原因だとは言い切れませんよ。

弁護士A

 もちろん分かっています。

 お医者さんに分かるのは、診察時に症状があるというだけで、その症状が交通事故が原因であるかどうか判断できないことは分かっています。

 例えば、「交通事故があって、被害者は頭を打った。」「次の日に、被害者は医院に行って、首が痛いと通院している。」「交通事故の前には、被害者は、その病院には行っていない。(つまり、交通事故の前に怪我した怪我ではないこと)」を前提に、「交通事故を原因とした怪我である。」と認定できるのは、裁判所だけです。

弁護士A

 例えば、脊髄の神経が圧迫されているので、交通事故による症状が悪化したという可能性はありますか。

医師B

 もちろん、あると思います。

弁護士A

 MRI等の画像所見でも、悪化が見られるのでしょうか。

医師B

 はい。悪化が見られます。

弁護士A

 先ほどの話は、「交通事故の症状として矛盾しない。」もしくは、「交通事故の影響の可能性がある。」という表現を使うのは大丈夫でしょうか。

医師B

 もちろん、大丈夫です。

弁護士A

 裁判所に分かる文書を表作る必要があります。今の話を素人の言葉で表すと、「〇〇〇〇」という意味でよいでしょうか。

医師B

 そのとおりでよいと思います。

テクニック

 裁判所に分かる文書を作る必要がある。そうすると、素人の言葉で全ての表現を言い換えると分かりやすい。

弁護士A

 依頼者(患者)Cさんに直接質問があります。

 後遺症の診断書に書かれている「〇〇の症状とはどんなものですか。」

テクニック

 現在の症状の具体的内容については、医師ではなく、依頼者(患者)Cさんに直接聞くべきである。

依頼者(患者)C

 手がしびれます。

弁護士A

 日常生活ではどんな問題が起きますか。

依頼者(患者)C

 100円玉を握っていても、無意識に力が抜けて、落としてしまいます。

弁護士A

 どんなことで困っていますか。

 ・・・・

弁護士A

 医師B先生に質問ですが、後遺症の診断書に記載された「依頼者(患者)Cの症状」は、今の話と矛盾しないということでよいのでしょうか。

医師B

 矛盾しません。

弁護士A

 医師Bの意見として、書面にて、依頼者(患者)Cは「現在の症状について、日常生活で●●となっている」と説明しているが、これは医師Bの後遺症の診断書の記載と矛盾しない、という意見書に署名頂くことは可能でしょうか。

医師B

 問題ありません。

弁護士A

 今回、お聞きしたお話をまとめて、意見書の下書き書かせてもらいます。これをチェックして頂いて、医師Bのサインを頂くことは可能でしょうか。

医師B

 大丈夫ですよ。

弁護士A

 意見書の代金として●●円でお願いしてもよいしょうか。

医師B

 分かりました。

弁護士A

 もし、料金をアップして頂く必要があればもちろん、言ってください。

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