当事者が養育費の金額を合意しているとき
2024/09/04 更新
このページを印刷当事者の合意
1 金額の合意
婚姻費用や養育費の金額は、夫婦の合意で決めることができます。
2 不払いの場合の訴訟手続
令和5年5月25日 東京高裁
当事者が合意書等で、養育費の金額を具体的に決めているときに、義務者がこれを支払わない場合には、家庭裁判所に対する審判手続ではなく、地方裁判所(もしくは簡易裁判所)に対する民事訴訟を提起すべきです。
令和5年5月25日 東京高裁
判例タイムズ1522号118頁
解説
1 手続の選択
(1)養育費等の金額が決まっていないときには、家庭裁判所に対する調停手続(調停手続が不調になれば、審判手続)を申し立てなければなりません。
(2)これに対して、当事者が合意書等で、養育費の金額を具体的に決めているときに、義務者がこれを支払わない場合には、家庭裁判所に対する審判手続ではなく、地方裁判所(もしくは簡易裁判所)に対する民事訴訟を提起すべきです。
2 家庭裁判所の調停手続の運用
当事者が合意書等で、養育費の金額を具体的に決めているときが、一方当事者が家庭裁判所に対し養育費の調停を申し立てたときには、家庭裁判所はこれを拒否したりせずに、同手続での解決を図ろうとしてきた。
3 審判手続
(1)家庭裁判所に対する調停手続が不調になれば、審判手続を申し立てることが多い。
(2)しかし、当事者が合意書等で、養育費の金額を具体的に決めているときに、義務者がこれを支払わない場合には、家庭裁判所に対する審判手続は却下される。同請求は、地方裁判所(もしくは簡易裁判所)に対する民事訴訟を提起すべきです、という判断が示されました。