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判例(企業と企業間のフランチャイズ契約について、「契約の更新について、フランチャイザーの同意が必要である」とされている場合、フランチャイザーの同意がない場合、フランチャイズ契約は終了する。)

2025/05/30 更新

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東京地裁令和5年11月20日

1 事案

(1) シンガポールのアパレル販売会社(原告)が、東京のファッションブランド会社(被告)との間で締結したフランチャイズ契約の更新を求めたが、被告に拒否されたため、損害賠償などを求めて提訴した。
(2)フランチャイズ契約の内容としては、フランチャイジー(原告)がシンガポールの店舗で、フランチャイザー(被告)のブランドの製品を販売するものであった。
(3)フランチャイズ契約の内容としては、以下の内容である。

①契約期間は,平成28年3月18日から5年間である(15.1条)。
②本件契約の更新に関しては、フランチ ャイザー(被告)の同意が必要となる(15.3条)。
 (契約について、自動更新条項は存在しなかった。)

2 争点

(1) フランチャイジー(原告)は、以下の主張をした。
(2) 契約の更新について、フランチャイザー(被告)は明示的又は黙示的に同意をした。
(3)契約書上、明記されていないが、継続的契約であることを考えると、フランチャイザー(被告)が期間満了の6か月前より後に更新拒絶する場合には、やむを得ない事由を要し、同事由が認められなければ同意がされたものとみなされる。
(4)フランチャイザー(被告)が、更新拒絶をしたことが信義則違反又は権利濫用にあたる。

3 判決

(1)契約の更新について、フランチャイザー(被告)は明示的又は黙示的に同意をしていない。
(2)本件契約の更新について定めた15.3条の解釈にフランチ ャイズ契約のような継続的契約においては契約関係の安定性の保護の要請から契約期間満了時にお ける更新拒絶を制限するのが相当な場合もあるとして契約条項の補充的な解釈をする余地がある。しかし、本件契約については、企業間の取引に係る契約であり、被告により一方的に契約条項が決定されたわけではないこと、本件契約には自動更新条項の定めがなく、原告において契約期間満了時に契約が終了すること を予測して行動することは十分可能であること等からすれば、契約上の明文のない制限が存在する(やむを得ない事由が必要がある)と解することはできないとした。
(3)被告が原告に対し本契約が更新されると信頼を抱かせる行為をしながら、正当な理由なく更新を拒絶した場合には、継続的契約の更新拒絶そのものが信義則又は権利濫用となることがありえる。しかし、本件ではそのような事情が存在し、と判断した。

東京地裁令和5年11月20日

判例タイムズ1531号186頁

解説

(1) 継続的な取引関係であるフランチャイズ契約の更新について、継続的契約においては 形 式的に期間の定めがある場合であっても、期間満了後も契約が継続することへの期待が存することから、期間の満了により原則として契約は終了するとしつつも、信義則又は権利の濫 用の法理を適用して更新拒絶が制限されることがある。
(2)フランチャイズ契約の契約書においては、 実務上、自動更新条項が定められていることが多く、 期間満了後の更新拒絶についてはこの自動更新条項の解釈が問題となることが多い。
(3)本件では、自動更新条項は定められていないこと、更新には必ず被告の同意が条件とされていたという点において特徴がある。
(4)本件では、フラインチャイジー(原告)も、それなりの事業規模と経験を持つ会社であるから、契約書のどおりに解釈することが適切であり、継続的な取引であることを理由に、契約書に明記されていない制限を認めることはできないとされました(判例タイムズ1531号187頁)。

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