Q 持戻しの免除がある場合に、遺留分侵害額の計算方法は変わるか。
2026/04/04 更新
このページを印刷遺産分割と持戻しの免除
遺産分割の場面では、共同相続人の一人が生前に、贈与を受けている場合に、特別受益として持ち戻すことになります。つまり、贈与された財産の価格を相続財産に加算し、各共同相続人の相続分を確定します(一応の相続分)。
特別受益を受けた相続人は、一応の相続分から贈与額を控除して、その残額が具体的な相続分となります(民法903条1項)。
特別受益の持ち戻し
(1)例えば、被相続人の生前の財産が100万円であったとします。
そのうち50万円を相続人の一人に贈与しました。そうすると、被相続人の死亡時の財産(つまり、相続財産)は50万円です。
相続財産の計算上は、贈与分を相続財産に加えて、100万円が相続財産であると計算するのが公平というのが、特別受益の持ち戻しです。
(2)共同相続人の一人が、被相続人の死亡により生命保険を受け取った場合に、被相続人から相続財産の贈与を受けた場合と同じく考えるべきか、が問題となります。
遺留分侵害請求と持ち戻しの免除
(1)持戻し免除の意思があっても、遺留分侵害請求の計算で考慮されることはありません。遺言者が持ち戻し免除の意思表示をすることで遺留分制度を回避することが出来ることになってしまうからです(最判平成24年1月26日家月64巻7号100頁)。
(2)もっとも遺産分割の対象となる未処理遺産が存在する場合、特別受益のみを考慮して遺産分割を行うと仮定して遺留分侵害額を確定する。したがって、その際に、持戻し免除の意思表示が考慮される。
参考
森公任 「法律家のための遺言・遺留分実務のポイント」 40頁以下






