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Q 遺留分侵害額の計算方法について教えて下さい。

2026/04/04 更新

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遺留分侵害額請求権

(1)令和1年7月1日以降に発生した相続については遺留分を侵害された者は、遺留分侵害を通知することによって、旧法の遺留減殺請求権に代わって、遺留分侵害額請求権を行使できる。

(2)遺留分侵害額請求権は、遺留分について金銭的な賠償を求めれる権利です。

遺留分侵害請求権の行使

(1)遺留分侵害額請求権(形成権)の行使により、受遺者等に対する、遺留分侵害額に相当する金銭債権が生じる。

(2)遺留分侵害額請求の意思表示をする際には、遺留分侵害額を具体的に示して意思表示する必要はなく、訴えによる必要もない。

(3)遺留分侵害額請求権(形成権)は、遺留分権利者が、相続の開始および遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知ったときから 1 年間行使しないときは、時効によって消滅する。
 また、遺留分侵害額請求権(形成権)は、相続開始のときから10年を経過したときは、消滅する(除斥期間)。

遺留分算定の基礎となる財産

 遺留分算定の基礎となるべき財産 =

   相続開始時の積極的財産(遺贈及び死因贈与を含む)の価格

 + 生前贈与された財産の価格

 − 相続債務の全額      (民法1043条1項)

相続開始時の積極的財産(遺贈及び死因贈与を含む)の価格

(1)遺贈とは、特定財産承継遺言や、相続分の指定による遺産の取得を含みます。

(2)未処理遺産(遺贈や、死因贈与の対象とされておらず、過分債権を除いた財産)は、遺留分算定の基礎となる(民法1043条1項)。

参考

 判例タイムズ1541号7頁

生前贈与された財産の価格

(1)相続人以外の者に対する相続開始前の1年間にされた贈与(民法1044条1項第1文)

(2)遺留分権利者に損害を加えることを知ってされた相続人負担付以外の者に対する贈与(民法1044条1項第2文)

(3)相続人に対する相続開始前の10年間にされた贈与でかつ特別受益に該当するもの(婚姻若しくは養子縁組のため又は生計の資本として受けた贈与)(民法1044条3項)

(4)負担付贈与と不相当な対価でなされた有償処分(民法1045条1項)

 なお、これらの贈与の財産の算定は、贈与時ではく、相続開始時で計算される(民法1044条2項)。

参考

 判例タイムズ1541号9頁

生命保険

 第三者が受取人となっている生命保険金は、含まれないのが原則である。ただし、受取人である一部の相続人に対する特別受益にあたる場合には基礎財産に含まれうる(最決平成 16年 10月29 日民集 58巻7号1979頁)。

可分債権

(1)可分債権は、相続開始時に当然に分割され、各相続人が相続分に投じて当然に承継される。

(2)遺留分の計算の際には、可分債権は、遺留分算定の基礎となるべき財産に含まれる。

(3)可分債権が遺贈(特定財産承継遺言や、相続分の指定による遺産の取得)又は贈与されている場合には、遺留分の計算上は、遺贈又は贈与として扱う。

(4)可分債権は、相続開始時に当然に分割され、各相続人が相続分に投じて当然に承継される。遺留分侵害額の計算において、「遺留分権者が取得する遺産の価格」として計算される。

参考

 判例タイムズ1541号8頁

相続債務の全額

 被相続人の負担した債務を意味するから、私法上の債務だけ伝は無く、税金や罰金などの広報上の債務も含まれる。

具体的遺留分額の計算

 具体的遺留分額 =

 遺留分算定の基礎となる財産 × 法定相続分 × 1/2(遺留分の割合)

遺留分の割合(民法1042条)

直系尊属のみが相続人である場合   3 分の1 × 法定相続分
上記以外の場合           2 分の1 × 法定相続分

遺留分侵害額の計算

 遺留分侵害額 = 

 具体的遺留分額 

− 遺留分権利者が受けた遺贈・贈与の額

− 遺留分権者が取得する遺産の価格

+ 遺留分権利者が承継する相続債務

遺留分権利者が受けた遺贈・贈与の額

(1)遺留分権利者が特別受益に当たる生前贈与を受けた場合、遺留分侵害額の算定に当たり、当該遺
留分権利者の遺留分の額から特別受益に当たる生前贈与の価額を控除する(民法1046条2項)。
(2)遺留分侵害額の算定に当たり控除すべき生前贈与の範囲は、遺留分算定の基礎となる財産の価額
に算入すべき贈与の範囲と異なり、相続開始前の10年間にされたものに限定されていない。 (判例タイムズ1541号9頁)

遺留分権利者が承継する相続債務

(1)通常、相続債務は法定相続分に応じて相続人が承継するので、「遺留分侵害額の計算」における遺留分権利者が承継する相続債務は、法定相続分で計算する。

(2)しかし、相続人のうち一人に対して全財産を相続させる遺言がされた事案に関しては、判例(最判平成21年3月24日民集63巻3号427頁)は、その相続人に債務が帰属するとした。これは、法定相続分ではなく。実際に負担する額で計算したことになる。

受遺者・受贈者の負担額

(1)受遺者・受贈者は、遺贈または贈与の目的の価格を限度として遺留分侵害額を負担する(民法1047条1項本文)。

①受遺者
 負担の順番については、受遺者と受贈者があるときには、受遺者が先に負担する。
 受遺者が複数いる場合は、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときを除き、その「目的の価額」の割合に応じて遺留分侵害額を負担する(民法1047条1項2号)。

   ↓

②死因贈与
 死因贈与の受贈者は、受遺者に次いで、生前贈与の受贈者よりも先に負担する(多数説)。
 (判例タイムズ1541号7頁)

   ↓

③生前贈与
 生前贈与が複数あるときには、新しい生前贈与から順に遺留分減殺額を負担する。
 受贈者が複数いる場合は、新しい生前贈与を受けた者から順に遺留分侵害額を負担することとされている (民法1047条1項3号)。
 そして、受贈者が複数いる場合においてその贈与が同時にされたものであるときは、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときを除き、その目的の価額の割合に応じて負担することとされている(民法1047条1項2号)。

(2)遺留分侵害額請求の相手方たる受遺者・受贈者が相続人である場合
 遺贈の価額から、自らの遺留分を控除した残額を限度として負担する(民法1047条1項)

(3)受遺者・受贈者の無資力
 遺留分権利者が負担する(民法1047条4項)。

(4)遺言者が遺言で別段の意思表示をしたとき
 受遺者が複数あるときは、それぞれの受遺者が、その目的物の価格に応じて、遺留分侵害額請求の相手方となり、負担するのが原則であるが、遺言者が遺言で別段の意思表示をしたときはその意思に従う(1047条1項2号但書)。

参考

 判例タイムズ1541号5頁

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