提訴期限:2027年3月31日 制度解説 ❯

病院から開示されたカルテが一部「黒塗り(マスキング)」されている時の対処

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法、基本合意書、裁判実務および厚生労働省の最新手続基準に基づき、法律実務の視点からわかりやすく解説しています。

Q 「病院から取り寄せたカルテに黒塗り(マスキング)部分があるのですが、B型肝炎訴訟の証拠としてそのまま使えますか?」
A 【影響の有無について】精神科や婦人科など肝疾患の診療に関係のないプライバシー保護を目的とした黒塗りは正当な処置であるため、基本的には給付金請求の審査において悪影響はありません。
【対処法と弁護士の役割】ただし、なぜその部分がマスキングされているのかを国(被告)に対して適切に説明・主張する必要があります。自身での判断が難しい場合は、証拠資料の精査や国との交渉をスムーズに進めるためにも、B型肝炎訴訟に精通した弁護士に一度相談することをおすすめします。

カルテ提出時におけるプライバシーの保護

B型肝炎訴訟(給付金請求)の手続きでは、国に対してご自身の医療記録(カルテなど)を証拠として提出する必要があります。しかし、カルテには肝疾患に関する情報だけでなく、精神科や婦人科など、B型肝炎とは直接関係のない極めてプライベートな受診歴や相談内容が含まれていることがあります。

訴訟のために必要な手続きとはいえ、「無関係な個人的な情報まで、すべて国に開示しなければならないのか」と不安に思われる方は少なくありません。とくに、デリケートな悩みや過去の疾患に関する記録は、たとえ相手が国や裁判所であっても、知られたくないと考えるのは当然のことです。

B型肝炎の給付金請求においては、過去の病歴を証明するために、場合によっては数十年分のカルテを提出することになります。その中には、本来であれば開示する必要のない情報が混在していることが多く、これらを適切に保護しながら手続きを進めることが求められます。

肝疾患と無関係な部分のマスキング(黒塗り)対応

給付金請求において国が確認したいのは、あくまで「B型肝炎ウイルスの感染状況」や「肝疾患の進行度・病態」などに関する情報です。したがって、訴訟の目的とは全く無関係なプライバシー情報については、提出前にマスキング(黒塗り)をして見えないようにすることが認められる場合があります。

たとえば、精神的な落ち込みによる心療内科の受診記録や、婦人科系の疾患に関する治療歴など、肝臓の病態やB型肝炎ウイルスの感染経路(集団予防接種等であることの証明)に影響を与えない情報は、マスキングの対象となり得ます。

マスキングを行う際の手順と注意点

マスキングを行うからといって、ご自身で勝手に黒塗りにして提出してよいわけではありません。不適切なマスキングは、「意図的に不利な情報(例えば、他原因での感染を疑わせる情報など)を隠しているのではないか」という疑念を招きかねず、手続きに支障をきたすおそれがあります。

適切な手続きを踏んでマスキングを行うためには、以下の手順を守ることが重要です。

  1. マスキング対象の精査

    どの部分が肝疾患と無関係であり、マスキングが必要なプライバシー情報に該当するかを慎重に判断します。医学的な知識も必要となるため、専門家と相談しながら進めるのが確実です。

  2. 国への事前説明と協議

    なぜその箇所をマスキングするのか、その部分が今回の給付金請求において無関係であることを、合理的に国側へ説明する必要があります。正当な理由に基づくマスキングであることを理解してもらうための協議が行われます。

  3. 適切なマスキング処理

    協議に基づき、合意が得られた箇所のみを適切にマスキングした状態でカルテの写しを提出します。これにより、プライバシーを守りつつ、審査に必要な情報だけを正確に提供することができます。

弁護士がプライバシーをしっかりと守ります

どこまでマスキングが認められるのか、どのように国へ説明すればよいのかといった判断は、専門的な知識を持たない方にとっては非常に難しい作業です。間違った対応をしてしまうと、かえって手続きが遅れたり、給付が認められなくなったりするリスクもあります。

弁護士にご依頼いただければ、カルテの内容を細部まで精査したうえで、国への丁寧な説明や交渉を代行いたします。ご相談者様のプライバシーを最大限に守りながら、円滑かつ確実に給付金請求の手続きを進めることが可能です。

一人で悩まず、まずは専門家にご状況をお話しください。弁護士は守秘義務を負っておりますので、安心してご相談いただけます。

B型肝炎給付金の手続きや対象要件でお悩みの方は、一人で抱え込まず、厚生労働省のB型肝炎訴訟相談窓口(0120-800-024)や法テラス、全国の弁護士会法律相談センターなど、公的な相談窓口のご利用をご検討ください。

🏛️ B型肝炎給付金に関する公的な相談窓口

特定B型肝炎ウイルス感染者給付金の支給要件、必要書類、訴訟手続きなどに関するご相談は、厚生労働省の専門窓口や中立的な公的機関をご利用いただけます。

【主な公的相談窓口】
  • 厚生労働省 B型肝炎訴訟相談窓口: 0120-800-024(平日 9:00〜17:00 / 通話料無料)
  • 法テラス(日本司法支援センター): 0570-078374(平日 9:00〜21:00、土曜 9:00〜17:00)
  • 各都道府県の弁護士会: 全国の弁護士会法律相談センターにて専門相談窓口が開設されています。
弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、交通事故の賠償問題をはじめ、事業者様を狙う求人広告詐欺の被害救済やオフィス・テナント等の原状回復トラブルなど、不測の事態に直面した皆様の精神的・経済的なご負担を少しでも和らげ、正当な権利の実現と円満な解決へと導くためのサポートを徹底して行っています。

TOP