この記事の要点まとめ
過去に鎮静化した慢性肝炎が再燃した場合、再燃時を新たな20年の起算点とする判例実務。
令和3年の最高裁判決がもたらした大きな変化
B型肝炎訴訟において、「除斥期間(20年)」は給付金の金額を決定する上で非常に重要な要素です。原則として、慢性肝炎の発症から20年が経過すると、受け取れる給付金が大幅に減額されてしまいます。しかし、令和3年(2021年)に最高裁判所が下した判決により、この除斥期間の考え方に大きなパラダイムシフトが起こりました。 この判決では、特定の条件を満たす慢性肝炎の患者様について、過去に症状が鎮静化していた場合、「その後に再燃した時点」を新たな除斥期間の起算点(20年のカウント開始日)とすることが認められたのです。
「鎮静化」と「再燃」の考え方
慢性肝炎は、ウイルスの活動が活発な時期と、免疫の働きや治療によって活動が落ち着き、肝機能の数値が正常化する「鎮静化」の時期を繰り返すことがあります。 令和3年の最高裁判決と同等の経過をたどるケースとは、かつて慢性肝炎を発症したものの、その後長期間にわたってウイルスの増殖が抑えられ、肝機能検査の数値(ALT等)が正常範囲内で安定していた状態が続いた後、再びウイルスの活動が活発化して肝炎が「再燃」した状態を指します。 このような場合、法律上は「最初の発症から現在までずっと同じ一つの病気が続いている」のではなく、「一度病気が落ち着き、その後新たな損害(再燃)が発生した」と解釈されるようになりました。
除斥期間の起算点リセットによる影響
この「起算点リセット」の考え方が適用されると、患者様にとって非常に大きなメリットがあります。最初の発症からすでに20年以上が経過していても、再燃した時点から20年以内であれば、除斥期間を過ぎていないものとして扱われるからです。 これにより、本来であれば除斥期間経過後として大幅に減額された給付金(150万円または300万円)しか受け取れなかった方が、除斥期間内の給付金(最大1,250万円)を受け取れる可能性が生じます。長年、病気の再発不安と闘ってきた患者様に対する、より実態に即した救済実務が定着してきていると言えます。
医療記録に基づく慎重な証明が必要です
起算点リセットを認めてもらうためには、単に「再燃した」と主張するだけでは足りません。過去のカルテや血液検査の結果などの医療記録を集め、「長期間にわたって鎮静化していた事実」と「その後に明確に再燃した事実」を医学的・法的にしっかりと立証する必要があります。古い記録を集める作業や、複雑な要件を満たしているかどうかの判断は、専門家のサポートが不可欠です。
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