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過去のカルテ紛失により「最初の発症日」が証明できない場合の起算点の認定交渉

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法、基本合意書、裁判実務および厚生労働省の最新手続基準に基づき、法律実務の視点からわかりやすく解説しています。

Q 過去のカルテが紛失していて最初の発症日が証明できない場合、B型肝炎の給付金請求における起算点はどのように認定されるのでしょうか?
A 【代替資料による起算日の認定交渉】初診時のカルテが残っていない場合でも、お薬手帳の記録や過去の健康診断の結果など、客観的に肝機能異常が確認できる日を新たな起点として立証・交渉する手法があります。これにより、カルテ紛失を理由に諦めることなく、正しい起算点に基づいた給付金請求が可能になります。
【専門弁護士による立証サポートの重要性】カルテがない状況での起算点認定には、医学的・法的な高度な立証作業が不可欠です。B型肝炎訴訟に精通した弁護士に依頼することで、残されたわずかな資料から論理的な主張を組み立て、国側との交渉を有利に進めることができます。

「最初の発症日」の証明がなぜ重要なのか

B型肝炎訴訟において、慢性肝炎や肝硬変、肝がんの給付金を請求する際、その金額を大きく左右するのが「除斥期間(20年)」です。この20年のカウント開始日となるのが「最初の発症日」です。 発症から20年以内であれば満額(例えば慢性肝炎なら1,250万円)が支給されますが、20年を超えると大幅に減額されてしまいます。そのため、発症日がいつなのかを正確に特定し、証明することが極めて重要になります。通常は、初診時のカルテや医師の診断書がその強力な証拠となります。

カルテが破棄されている場合の大きな壁

しかし、現実には大きな壁が立ちはだかります。法律上、医療機関におけるカルテの保存義務は「5年間」と定められています。そのため、発症から長期間が経過している場合、最初の診断を受けた病院に問い合わせても「すでにカルテは破棄されている」と回答されるケースが非常に多いのです。 初診時のカルテがないと、国に対して「いつ発症したのか」を直接証明することができず、給付金請求において極めて不利な立場に置かれることになります。

代替資料を用いた「起算点の認定交渉」

カルテが存在しないからといって、決して諦める必要はありません。弁護士は、カルテに代わる様々な間接的な資料を収集し、パズルのように組み合わせることで発症時期を推認させ、国と交渉を行います。具体的には以下のような手法が取られます。

お薬手帳や処方箋の記録 当時の抗ウイルス薬や肝機能改善薬の処方記録があれば、その時点で治療を要する状態(発症)であったことを推測できます。

健康診断の結果や血液検査のデータ 過去の職場の健康診断などで、ALT(GPT)などの肝機能数値が異常を示していた時期を遡って特定し、その時点を発症の起点として主張します。

他の医療機関への紹介状や後のカルテの記載 後から受診した病院のカルテに「〇〇年頃から肝機能異常を指摘されていた」といった医師の問診記録(既往歴)が残っていれば、それが有力な証拠となる場合があります。

専門家による綿密な証拠収集が不可欠です

このような代替資料を用いた立証や国との交渉は、医学的な知識と法的な経験が求められる非常に専門的な作業です。自己判断で諦める前に、まずはどのような資料が残っている可能性があるか、弁護士にご相談ください。


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弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

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