パワハラ・セクハラ対応事例
2021/07/08
パワハラ・セクハラの具体的事例と解決方針について概説します。なお、守秘義務の問題もあり、実際の事案とは一部変更しております。
事例1
従業員Aは上司Bから、人格否定を含むような言葉で導を受けていた。
調査
周りの人間も、二人のやりとりは見ており上司Bの言動は不適切だとは感じていた。
職場の数人から話を聞くだけで、事実確認はある程度できた。
落ち度
従業員Aにも、要領が悪いところもあった。
上司Bの指導方法に問題があった。
従業員への説明
上司Bに対し注意をするためには、上司Bに対し、「従業員Aからの申告があったことは説明せざるを得ないこと」を説明した。
上司Bの発言に不適切な言葉は見当たるが、指導の目的は正当であると考えるので、上司Bについては、文書できっちり注意することを説明した。
職場は一つしかなく現実的にどちらかを配置転換することはできないが、従業員Aの要望を聞いて、指導担当を別の上司に切り替えることを説明した。
処分と対応
上司Bに、不適切な発言があったことを説明し注意した。また、上司Bに対しては、従業員Aに対し何ら報復的な行動に出ないように注意し、仮にそのような言動が確認されれば、重い処罰を下す予定であるととも説明した。
職場の席の位置も離し、従業員Aの要望を聞いて、指導担当を別の上司に切り替えることを説明した。
事例2
上司Bは結婚しているが、従業員Aに対し、プライベートで食事しようと誘っていた。
調査
ラインのやりとりがあり、事実確認はある程度できた。
上司Bに事実確認するためには、上司Bに対し、「従業員Aからの申告があったことは説明せざるを得ないこと」を説明した。
上司Bに話を聞いて、業務上の必要性がなかったことを確認した。
落ち度
上司Bに全面的な問題があると判断した。
処分と対応
従業員Aは上司Bと一緒に働きたくないいという強い要望を持っていた。
上司Bは、家族に知らせたくない。穏便に済ませたいという意向があった。
会社としては、上司Bに対し、所属先を移動する提案をして、上司Bはこれに承諾した。
上司Bに対しては、上記とは別に文書にて注意をした。また、従業員Aに対し何ら報復的な行動に出ないように注意し、仮にそのような言動が確認されれば、重い処罰を下す予定であるととも説明した。
事例3
社員Aと、社員BCDが職場で対立し、コミニュケーションが取れなくなった。(社員同士の対立であり、正確にはパワハラではない。)
調査
社員Aの言い分、社員BCDの言い分をそれぞれ聞いた。
「言った」「言わない」の部分が多く、どちらが悪いとも判断できなかった。
落ち度
あくまで、個々の事案について責任を明確にはしないが、感情で相手方に接することは問題があるとして、お互いを処分する方針を決めた。
処分と対応
双方に、きっちりとした コミニュケーション を取るように注意、これに従わなかった場合には処分する旨を通知した。
社員のコミュニケーションを可視化するためにも、社内でチャットを導入し、感情的な言い回しがないこと、必要な最低限度の意思伝達がされていることを監督できるようした。
事例4
社員Aは、社員Bに抱き付いてキスしようとした。
調査
社員Aの言い分を聞かないと、社員Aを処罰できない。調査をするには、社員Aに対し、「従業員Bからの申告があったことは説明せざるを得ないこと」を説明した。
社員Aに話を聞いて、抱き付いたことまでは認めた。キスしようとしたことは認めなかった。
落ち度
社員Aと社員Bのメールのやりとりでは、社員Aが好意を寄せていることが分かる内容であり、社員Bが職場環境の悪化を懸念して、明確な拒否をしてはいないかった。
ただし、社員Bに落ち度が認められるような内容ではなかった。
処分と対応
社員Bは退職を希望し、会社への慰謝料請求を申し出た。
会社としては、社員Bに対し、会社への支払い義務は検討中であるが、社員Aの責任が重く、結局会社としては、社員Aから金銭回収せざるをえないと説明した。
社員Aも退社し、会社は社員Aから預かったお金を社員Bに手渡し、解決させた。
事例5
社員Aは、上司のBからセクハラされていると申し出た。
調査
上司Bは既婚者であった。上司Bからメール等の開示を受けて、実は社員Aと上司Bは不倫関係にあり、破局した腹いせで社員Aがセクハラを申し出たことが分かった。
社員Aに事実確認したところ、上司Bの証言の裏付けをとることができた。
落ち度
上司Bの不倫については、社会的に不適切ではあるが、職場に迷惑をかけたわけではなく、不問とした。
社員Aは虚偽の申告をしたことについて、処分することとなった。
処分と対応
社員Aに対し、調査結果を伝えると共に、個人間の問題について職場を巻き込んだことは許されないことを説明し、文書にて注意を行った。
事例6
上司Aは営業成績はよかったが、誰にも威圧的で、上司Aを原因として退職者が続出した。
社員Bは「自分が申告したことを秘して、上司Aのパワハラを調査してほしい。」と申し出た。
調査
周りの人間からヒアリングするだけでも、上司Aの言動がパワハラであることは確認ができた。
落ち度
上司Aの指導方法に問題があることは明らかであった。
処分と対応
上司Aの営業成績もよく、上司Aのポジションを変更させたくないという意見もあったが、コンプライアンスの問題もあり、給与は下げずに、上司Aの管理職としての職責を外すとことして、上司Aの処分を決めた。
上司Aには、犯人捜しをしないこと、仮に犯人捜しをした場合にはさらに重い処罰を下すこと、上司Aのがんばり次第では管理職に戻すことも説明した。
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