インボイス制度(適格請求書保存方式)の概略
2022/04/24
消費税の納税
企業は、消費税について、1年間の間で、お客様から受け取った消費税から、事業者に支払った消費税を控除して消費税を納めてきました。
例 お客様に、110円(消費税10円)で缶ジュースを売った。・・・①
仕入業者に、55円(消費税5円)で缶ジュース代を支払った。・・・②
①-②=5円の消費税を納めればよかった。
インボイス制度(適格請求書保存方式)がスタート
(1)令和5年10月1日からインボイス制度(適格請求書保存方式)がスタートします。
(2)仕入れ業者が、適格請求書発行事業者の要件を満たす業者でなければ、上記の②の控除がされなくなります。
インボイス制度(適格請求書保存方式)と必要な対策
1 請求書を出す側
(1)課税事業者(消費税を納めている事業者)は、適格請求書発行事業者の登録をしなければ、取引先は消費税の控除ができなくなります。
(2) 課税事業者(消費税を納めている事業者)は、 請求書に登録番号等を記載しなければなりません。
(3)免税事業者は取引先に対し請求できる消費税が段階的に無くなっていきます。※1
(詳しくは、下記の経過措置のとおりとなります。)
2 請求書を受け取る側
(1)課税事業者(消費税を納めている事業者)は、受け取った請求書(の発行者が適格請求書発行事業者であるかどうか、)によって、控除できる消費税額が異なります。したがって、これらを分けて記帳することになります。
(2)課税事業者(消費税を納めている事業者)であっても、消費税の簡易課税を選択している場合には、「売上×みなし仕入率×10%」で消費税を計算します。そのため、上記のような対応は不要です。
(3)免税事事業者は消費税を納める必要がありません。そのため、上記のような対応は不要です。
(消費税の)免税事業者
(1)一定期間の売上が一定以下であれば、消費税を納める必要はありません。この事業者を免税事業者といいます。
(2)免税事業者は適格請求書発行事業者になることができます。その場合には、会計帳簿を作成して、消費税を納める必要があります。(現実的には、税理士に依頼することが必要になるかもしれません。)。
適格請求書発行事業者になることを選択しないのであれば、免税事業者は適格請求書発行事業者の登録は不要です。
(3)令和5年10月1日からは、取引先の立場としては、免税事業者に支払った消費税について、段階的に控除額が減額されていきます。
このため、事実上、免税事業者は取引先に対し請求できる消費税も段階的に無くなっていきます。※1
(4)免税事業者は消費税を納めてないにも関わらず取引先から消費税を受取っていました。インボイス制度(適格請求書保存方式)はこれらの不公正を是正する制度です。
経過措置
(1)令和5年10月1日からは、取引先の立場からすれば、「免税事業者に支払った消費税に、その全部又は一部が控除されなくなります。
(2)以下のように、 消費税の控除は段階的になくなります。
令和5年10月1日から令和8年9月30日まで 80%
令和8年10月1日から令和11年9月30日まで 50%
令和9年10月1日から 0%
(3)つまり、免税事業者が取引先に請求できる消費税は上記の金額となります。※1
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