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予防法務

Q 公益通報があった場合に、公益通報対応業務従事者は何をするべきか。

2025/03/09 更新

公益通報とその対応

(1)公益通報者保護法により、常時雇用する労働者が300人以上の事業主は、公益通報対応業務従事者(以下、「会社の担当者」という。)を定めなければなりません(公益通報者保護法11条3項)。

(2)会社の担当者、公益通報があれば、以下の対応をしなければなりません。

①公益通報者の名前、連絡先の確認

1 連絡先の確認

(1)匿名でも公益通報は可能です。しかし、詳しい事情を聞かなければ、調査が必要か分かりません。

 例えば、「社員Aがパワハラをしている。」という通報だけだった場合、それが事実無根な怪文書なのか、それとも、調査が必要なことなのか分かりません。

(2)匿名でメールで公益通報があった場合には、「詳しく聞かないと、調査が必要なのか判断できません。お話を聞かせて下さい。」「誰にも漏らさないことを約束しますので、名前と電話番号を教えて下さい。」とお願いすることになります。

2 ヒアリング

(1)公益通報があれば、会社の担当者は、公益通報者から具体的な話を聞く必要があります。

(2)調査が必要な事項なのか判断するだけの情報をヒアリングする必要があります。

3 説明

(1)公益通報をする人は正義感の強い人が多く、通報前にも何らかのアクションをとっていることが多いです。不正の調査をした場合には、少なくとも「何者かが公益通報をしたこと」は明確になります。現実的には、「誰が、公益通報をしたか」分かってしまうことが多い、ということは伝えておく必要があるでしょう。

(2)例えば、社員Aが上司にこの件は問題ではないかと訴えたが、上司はまとめに対応しなかった。その直後に、不正調査が始まっていまえば、職場では、社員Aが公益通報をしたのではないか、と噂がたつことは避けられません。

②相談する専門家を決める。

(1)会社の担当者は、調査をするかどうかを決める権限と責任があります。

 調査をするには、費用がかかります。

 調査の必要がないと判断したことが後日問題となることもあります。

(2)会社の担当者、一人でこれらを決めることは危険です。

 公益通報の場合には、経営陣の不正を調査することもあり、社員同士ではこれらの決定ができません。会社を監査する立場の人と相談して、方針を決める必要があります。

取締役、社外取締役、会社の役員
 社外取締役等がいれば、同人に相談するのが無難でしょう。

顧問弁護士
 会社の不正の調査を顧問弁護士に相談すると、後日、会社側の弁護士として依頼できなくなる可能性があります。

顧問弁護士以外の弁護士
 顧問弁護士に、知り合いの弁護士を紹介してもらいましょう。 

監督官庁
 会社の名前を秘して、どうすればよいのか相談することになるでしょう。

③共有する情報を決める

 (1)匿名での公益通報を実現するためには、公益通報者を特定できる情報は、専門家にも共有しないのが原則です。
(2)しかし、それでは、現実に調査をすることが出来ない場合には、公益通報者の許可を得て、その専門家限りで情報共有をしていくことになります。

④方針を決める

(1)専門家と一緒に、今後の方針を決めることになります。

(2)「調査をする必要はない。」と判断する場合には、その結論に至った事情について文章を作成して、専門家に問題ないかチェックしてもらいましょう。

(3)調査をすることが決まった場合には、調査費用や、調査範囲を決めていくことになります。例えば、弁護士に依頼するのであれば、一方の弁護士事務所に依頼をして、もう一方の事務所にその方針に問題がないかをチェックしてもらうことになります。
 経営陣の不正をと調査する場合には、費用支出について許可を得るべき上司等が存在しないことがあるからです。

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