Q 取締役会からCEOを選ぶ場合には、どのようなことに注意すべきですか。
2025/03/09 更新
アメリカの取締役会とCEOの関係
(1)アメリカでは、取締役会とCEOは独立しています。CEOの業務を監視するのが取締役会の役割とされているからです。
(2)取締役会からCEOを選ぶ場合には、以下の注意が必要だといわれています。
(3)日本では、取締役から代表取締役が選任されるのは普通ですが、以下の注意事項は参考になります。
取締役からCEOを選任するメリット
(1)メリットとしては、社内の人間として、会社のことを知っていている人物を選ぶことができることです。
(2)人間関係が既にできているので、混乱期には、難しい事業場の意思決定について、取締役会に妥当性を確認する負担を大幅に減らして迅速な意思決定ができるというメリットもあります。
取締役がCEOの候補となった場合
(1)取締役がCEOの候補となった場合には、その取締役は、新CEOの選任これに関連する会議には参加させてはなりません。
(2)また、その取締役は、他の候補者と同じ、選考プロセス(新CEO候補としての面接など)を受けるべきです。
取締役からCEOを選任するデメリット
(1)取締役としての評価と、CEOとしての評価は違います。取締役としての能力だけで、CEOに任命してしまうリスクがあります。
(2)実際には、適任者がいないために、安易に取締役からCEOを選任してしまう可能性があります。
(3)取締役たちが、自分もCEO候補となりえると考え、取締役会内部での競争が生じることがあります。
(4)取締役出身のCEOと、取締役がお互いに気を使った結果、お互いの職務を果たせない可能性があります。
あるべき選考プロセス
(1)次のCEOが決まった段階で、その次のCEOの選任計画を立てるなど、早期からの準備が必要です。
(2)取締役も、他の候補者と同じ、選考プロセスにて選考をするべきです。
(3)選考プロセスでは、取締役としての実績は、CEO候補としての成績評価に直接影響はしないように工夫をしましょう。
(4)取締役がCEO担った場合に、CEOと、取締役のお互いの職務を明確にして、お互いの業務を全うすべきです。
(5)次のCEOが選任された段階で、他の候補者には、「CEOに選ばれなかった理由と、次の選考が始まっていること」を説明すべきです。他の候補者は、CEOになれなかったことで会社を去る可能性があるからです。
参考
ハーバードビジネスレビュー2025年4月88頁