Q 訴訟物は異なるが、既判力が及ぶ場合(前後関係・矛盾関係)について教えて下さい。
2026/03/23 更新
既判力の客観的範囲
(1)既判力は、主文に包括するものに限り生じる(114条1項)。
(2)既判力は、当該確定判決に係る訴訟物たる権利又は法律関係の存否について及ぶ。
(3)訴訟物は異なれば、既判力は作用しないのが原則であるが、前訴の訴訟物と後訴の訴訟物が先決関係もしくは、矛盾関係にある場合には規範力が及ぶ。
先決関係
(1)XはYに対し不動産について、所有権確認の訴えで勝訴した。(前訴)
(2)後訴で、XはYに対し同じ不動産について、所有権に基づく引渡し訴訟を提起した。(後訴)
(3)前訴の訴訟物である「所有権」は、後訴の訴訟物である「所有権に基づく引渡し請求権」の先決関係になるので、前訴の既判力は、後訴に及ぶ。
矛盾関係
(1)XはYに対する不動産について、所有権確認の訴えで勝訴した。(前訴)
(2)後訴で、YはXに対し同じ不動産について、所有権確認の訴えを提起した。(後訴)
(3)この場合、所有権の主体が違うので訴訟物は異なる。しかし、一つの不動産に完全な所有権が並存することはない(一物一権主義)から、前訴の訴訟物である「所有権」は、後訴の訴訟物である「所有権」と矛盾関係になるので、前訴の既判力は、後訴に及ぶ。
長谷部由起子「基礎演習 民事訴訟法 第3版」167頁以下






