Q 確定判決の効力は、実体法上、訴訟当事者の影響を受けるべき第三者に及ぶか。
2026/03/25 更新
既判力の人的範囲
(1)既判力は、当該確定判決に係る訴訟の当事者に限られるのが原則です。
(2)確定判決の効力は、実体法上、訴訟当事者の影響を受けるべき第三者に及ばないのか。
反射的効力と既判力拡張
1 既判力の性質
(1)実体法上、前訴の当事者の地位に依存する関係に立つ者には、訴訟の既判力の効力を及ぼさなくては実体上と整合性をとれなくなる。
確かに、「既判力によって訴訟物となった権利関係が変化する(実体法説)」と考えれば、例えば、主債務者と債権者との間で主債務の履行請求訴訟において、主債務者の勝訴が確定した場合、保証債務の付従性から、債権者は保証人との関係で、保証債務の履行をできなくなる。
(2)しかし、「既判力とは、確定判決が後日の訴訟に及ぼす拘束力である(訴訟法説)」ので、上記のように考えることはできない。
参考
田中豊 「論点精解 民事訴訟法〔改訂増補版〕」 71頁
2 反射効
(1)反射効は、「実体法上、前訴の当事者の地位に依存する関係に立つ者に対し、既判力を及ぶ(反射効)」という考え方です。
(2)しかし、反射効の根拠や、要件(どんなときに反射効が生じるのか)が明確でない、という批判があります。
参考
山本和彦「Law Practice民事訴訟法〔第5版〕」286頁
3 既判力拡張
(1)上記の結論を「既判力の拡張」から説明する立場もあります。
(2)民法上、主債務者の勝訴が確定した場合、保証債務の付従性から、債権者は保証人との関係で、保証債務の履行をできなくなる。主債務と保証債務は先決関係にあるから、訴訟物たる主債務の不存在という既判力が債権者と保証人の訴訟にも及ぶ、という考え方です。
参考
越山和広「ロジカル演習 民事訴訟法 補訂版」160頁以下
反射効否定説
1 判例
判例は、反射効を否定しているといわれています。
2 根拠
(1)既判力の根拠は手続保障であり、訴訟に関与していない第三者に判決の効力を及ぼすことはできない。
(2)確かに、実体法の統一的解決が望ましい。しかし、例えば、主債務者が夜逃げしており、全く争わずに判決が確定することもありるために、手続保障の観点からは、訴訟に関与していない第三者に判決の効力を及ぼすことはできない。
(3)既判力は第三者に及ばないのを原則としている以上は、3者間の訴訟において、判断が異なるのはやむをえない。
参考
田中豊 「論点精解 民事訴訟法〔改訂増補版〕」 78頁
3 反論
反射効を肯定する立場からは、否定説に対して「例えば、主債務者と債権者との間で主債務の履行請求訴訟において、主債務者の勝訴が確定した。しかし、債権者が保証人に対し保証債務の履行請求をして、保証人が敗訴すれば主債務者に対し求償請求をすることは考えられ、主債務者は勝訴した意味がなくなる。」という批判があります。






