【重要判例】死者名義訴訟
2026/03/24 更新
大判昭和11年3月11日民集15巻977頁
1 判旨の内容
訴状送達前に被告が死亡し、第一審判決が言い渡された。 相続人は控訴を提起し、第1審に差し戻すように求めた。
大審院は、本件訴訟の被告は相続人である。同人は当事者として控訴を提起でき、第1審に差し戻を請求できる。
2 解説
(1)相続人を当事者と認めないと、控訴を提起できない。控訴による救済が得られないことから、相続人を当事者とした。
(2)裁判例の見解が統一的ではないが、これは具体的な事案解決の妥当性を目指したためだといわれる。
参考
長谷部由起子「基本判例から民事訴訟法を学ぶ」26頁以下
高田裕成 ほか「民事訴訟法判例百選(第6版)14頁
死者名義訴訟
(1)当事者が死亡していたが、相続人がそれを報告せずに、本人として訴訟活動を継続していた場合(死者名義訴訟)事案については、裁判例は統一的な見解を採用していない、とも言われる。
(2)最判昭和41年7月14日民集20巻6号1173頁は、訴状送達前に被告が死亡した場合において、 その相続人が第1審で訴訟承継の手続をとり、控訴審まで訴訟遂行しながら、上告審で訴状送達前の被告の死亡を主張することは、信義則上許されないとした。 この事案は意思説や行動説によると、当初から相続人が被告であったことになる。
(3)死者を被告とする訴訟において、原告の意思を実質的に解釈し、または相続人の行動等や、訴訟経済等を考慮して、 実質上の被告は相続人であると解し, 表示の訂正を認めるものが多い。
(4)これに対して、表示説の立場に立ち、表示の訂正は認められないとして、死者を被告とする訴えを却下するもの (東京高判昭和54年8月30日判時943号 60頁) や、表示説を採用し、判決確定後に被告死亡の事実が判明した場合に、この判決の効力は相続人に及ばないとするもの (神戸地判昭和29年5月7日下民集5巻5号665頁) がある。
(5)裁判例の見解が統一的ではないが、これは具体的な事案解決の妥当性を目指した結果だとも言われている。
参考
高田裕成 ほか「民事訴訟法判例百選(第6版)14頁
遠藤賢治「事例演習民事訴訟法 第3版」26頁






