Q 訴状送達前に、当事者(原告もしくは、被告)が死亡していたが、相続人が裁判所にて当事者として活動していた場合に、判決の効力はその相続人に及ぶか。
2026/03/24 更新
事例
(1) (ア)訴状に記載された当事者(原告と被告)が、(イ)当事者として裁判上活動する(被告として訴状を受けることを含む)のが原則である。これを欠く場合には、当事者の確定の問題が生じる。
(2)しかし、訴状に記載された当事者(原告と被告)とは別の者が、裁判所にて当事者として活動した場合には、当事者の定義を修正して、その者に対し判決効力を及ぼすのが妥当ではないだろうか。
(3)訴状の到達時に、訴状に記載されていた原告または被告が死亡する(死者名義訴訟)事案は起こり得る。そのときに、相続人が、被告名義のまま訴訟活動をしたり、第一審で敗訴した後に、訴訟手続の違法を主張することがあります。
当事者の基準
(1)①訴状に記載された当事者(原告、被告)が訴訟の当事者となる(表示説)と考えれば、(ア)訴状に記載された当事者(原告と被告)が、(イ)当事者として裁判上活動する(被告として訴状を受けることを含む)のが原則である。これを欠く場合には、訴訟要件を欠くことなる。
(2)これに対して、訴状記載の被告Aが死亡し、唯一の相続人がBだとする。BがAを名乗って応訴したことをもって、訴訟の当事者とは、裁判所で当事者として活動する者をいう(行動説)と考えて、当事者はBでありBに判決の効力が及ぶ、という考え方もできる。
(3)実体法で考えたときに、被告Aが死亡すれば、その地位を相続人であるBが引き継ぐ。原告の意思を合理的に考えれば、被告人Aが死亡していたのであれば、被告は相続人(のB)である(意思説)と考えて、当事者はBでありBに判決の効力が及ぶ、という考え方もできる。
(4)この場合には、当事者に同一性があるとして、表示の訂正として対応することになる。
参考
遠藤賢治「事例演習民事訴訟法 第3版」27頁
| 当事者の基準 (1)当事者の基準にはどのような説がある。 (2)基本的な考え方として、以下の3つの考え方がある。 ①訴状に記載された当事者(原告、被告)が訴訟の当事者となる(表示説) ②原告の意思によって当事者が決まる(意思説) ③裁判所で当事者として振る舞った者である(行動説) (3)もっとも、意思説や、行動説では、どのような意思、どのような行動で当事者が決まるのか明確にならない。 したがって、当事者とは、訴状に記載された当事者とする考え方(表示説)が通説である。 |
| コラム (1)表示説の中でも、訴訟の記載を当事者欄だけでなく、請求の趣旨、請求源を含めて客観的に合理的に解釈するべき、とする実質的表示説もある。 (2)なお、実質的表示説については、意思説と大差なくなるという批判もある。 参考 遠藤賢治「事例演習民事訴訟法 第3版」25頁以下 |






