民事訴訟

Q (口頭弁論終結前の)訴訟承継後の運用について教えて下さい。

2026/09/14 更新

訴訟承継

 訴訟係属中の訴訟物である権利義務関係の変動による、当事者を交代させる制度です。

参加承継

(1)参加承継は、承継人が独立当事者参加(民事訴訟法47条)の形式で参加することによって行われます(民事訴訟法49条1項、51条)。承継人は、係属中の訴訟の当事者の双方または一方に請求を定立して参加します。

(2)その後の訴訟手続には、必要的共同訴訟に関する民事訴訟法40条1項から3項が準用されます(民事訴訟法47条4項、51条)。

平成26年度の予備試験では、参加承継については必要的共同訴訟の規定が適用されること、そのために、共同訴訟人である共同訴訟人であるY一人が単独でした自白は、Wとの関係だけでなく、Yとの関係でも効力を生じないこと(共同訴訟人の一人が単独でした不利益な訴訟行為は、他の共同訴訟人に対する関係ではもちろん、自分に対しても生じない(民事訴訟法40条1項)こと)、が出題された。

民事訴訟法47条 独立当事者参加
1項 訴訟の結果によって権利が害されることを主張する第三者又は訴訟の目的の全部若しくは一部が自己の権利であることを主張する第三者は、その訴訟の当事者の双方又は一方を相手方として、当事者としてその訴訟に参加することができる。
2項 前項の規定による参加の申出は、書面でしなければならない。
3項 前項の書面は、当事者双方に送達しなければならない。
4項 第四十条第一項から第三項までの規定は第一項の訴訟の当事者及び同項の規定によりその訴訟に参加した者について、第四十三条の規定は同項の規定による参加の申出について準用する。

民事訴訟法49条 権利承継人の訴訟参加の場合における時効の完成猶予等
1項 訴訟の係属中その訴訟の目的である権利の全部又は一部を譲り受けたことを主張する者が第四十七条第一項の規定により訴訟参加をしたときは、時効の完成猶予に関しては、当該訴訟の係属の初めに、裁判上の請求があったものとみなす。
2項 前項に規定する場合には、その参加は、訴訟の係属の初めに遡って法律上の期間の遵守の効力を生ずる。

民事訴訟法51条 義務承継人の訴訟参加及び権利承継人の訴訟引受け
第四十七条から第四十九条までの規定は訴訟の係属中その訴訟の目的である義務の全部又は一部を承継したことを主張する第三者の訴訟参加について、前条の規定は訴訟の係属中第三者がその訴訟の目的である権利の全部又は一部を譲り受けた場合について準用する。

引受承継

(1)引受承継は、訴訟引受けの申立てに基づき、裁判所が引受決定をすることによって行われます。その後の訴訟手続には、民事訴訟法41条1項、3項が準用されます(50条3項、51条)。
(2)つまり、通常共同訴訟の一種である同時審判申出共同訴訟になります。

平成26年度の予備試験では、引継承継については通常共同訴訟の規定が適用されること、そのために、共同訴訟人であるY一人が単独でした自白はYとの関係で効果を生じるが、Wとの関係では効果を生じないこと(共同訴訟人の一人がした訴訟行為は、他の共同訴訟人に影響を与えない(民事訴訟法39条)こと)、が出題された。

参考

 長谷部由起子「基本判例から民事訴訟法を学ぶ」302頁

民事訴訟法50条 義務承継人の訴訟引受け
1項 訴訟の係属中第三者がその訴訟の目的である義務の全部又は一部を承継したときは、裁判所は、当事者の申立てにより、決定で、その第三者に訴訟を引き受けさせることができる。
2項 裁判所は、前項の決定をする場合には、当事者及び第三者を審尋しなければならない。
3項 第四十一条第一項及び第三項並びに前二条の規定は、第一項の規定により訴訟を引き受けさせる決定があった場合について準用する。

民事訴訟法51条 義務承継人の訴訟参加及び権利承継人の訴訟引受け
第四十七条から第四十九条までの規定は訴訟の係属中その訴訟の目的である義務の全部又は一部を承継したことを主張する第三者の訴訟参加について、前条の規定は訴訟の係属中第三者がその訴訟の目的である権利の全部又は一部を譲り受けた場合について準用する。


前主

(1)承継人が当事者として加入したため、もはや訴訟追行の必要がなくなった前主は、相手方の承諾を得て訴訟から脱退することができます(参加承継につき、民事訴訟法48条、51条)(引受承継につき、民事訴訟法50条3項が準用する48条)。
(2)前主が脱退した場合、承継人に対する判決の効力は脱退した前主にも及ぶ(51条、50条3項)。

参考
 裁判所職員総合研修所「民事訴訟法講義案(三訂版)」325頁、326頁

訴訟承継の効果

(1)参加承継においても、引受承継においても、承継人は、承継原因が生じた時までに形成された従前の当事者(前主) と相手方の間の訴訟状態を、全面的に(有利・不利を問わず) 引き継ぎます。
(2)たとえば、承継人は前主がした自白に反する主張をすることができず、時機に後れたものとして前主がすでに提出できなくなっている攻撃防御方法を提出することもできません。
(3)承継人のみが有する攻撃防御方法(前主は提出することができない、承継人に固有のもの)を承継人が提出することは妨げられません。この点は、口頭弁論終結後の承継の地位と同様です。

平成26年度の予備試験では、訴訟承継の前に前主がした自白について、承継人がその効力を争えないことが出題された。

参考

 長谷部由起子「基本判例から民事訴訟法を学ぶ」299頁

弁護士 井上正人
 この記事の著者・監修 弁護士 井上 正人(いのうえ まさと) 大阪弁護士会所属(登録番号:43449) /
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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