Q 占有移転禁止の仮処分、処分禁止の仮処分とは何ですか。
2026/04/19 更新
訴訟承継主義の限界
(1)訴訟係属中の訴訟物たる金銭債権の譲受や、訴訟当事者から目的物の所有権が譲渡された場合(以下、係争物の譲渡という。)には、参加承継・引受承継の問題です。
(2)参加承継においては、承継人が訴訟への参加を申し出る必要があり (民事訴訟法49条、51条)、 引受承継においては、承継人の前主の相手方が訴訟引受けの申立てをする必要があります(民事訴訟法50条、51条)。
(3)係争物の譲渡がされても参加承継も引受承継も行われず、従前の当事者と相手方の間で判決がされて確定した場合には、その判決の効力は承継人には及びません。
承継人に判決の効力を及ぼすためには、参加承継または引受承継により、承継人を当事者とする必要があるのです。このような建前は、訴訟承継主義と呼ばれています。
占有移転禁止の仮処分、処分禁止の仮処分
(1)訴訟係属中に、係争物の譲渡等を禁止する手続が、占有移転禁止の仮処分、処分禁止の仮処分です。
(2)これらは、係争物譲渡がされても参加承継も引受承継も行われず、従前の当事者と相手方の間で判決がされて確定しても、その判決の効力が承継人には及ばないという事態を避けるための民事保全手続きです。
| 手続名 | 占有移転禁止の仮処分 | 処分禁止の仮処分 |
| 対象 | 建物や不動産の占有 | 不動産の登記 |
| 主な目的(保全する権利) | 建物の明渡し、土地の明け渡し請求権 | 所有権の移転登記請求権 |
| 公示方法 | 目的物に「公示札」を貼る | 不動産登記に記載する |
| 防ぐリスク | 別の人が住み着く。 | 別の人に転売されて登記が別人となる。 |
参考
長谷部由起子「基本判例から民事訴訟法を学ぶ」302頁






