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民事訴訟

Q 令和7年の司法試験の問題を教えて下さい。

2026/04/26 更新

[民事系科目]
〔第3問〕(配点:100[〔設問1〕から〔設問3〕までの配点の割合は、35:25:40])
 次の文章を読んで、後記の〔設問1〕から〔設問3〕までに答えなさい。
 なお、解答に当たっては、文中において特定されている日時にかかわらず、令和7年1月1日現在において施行されている法令に基づいて答えなさい。


【事 例】
1.Aは、令和5年3月30日に死亡し、Aの相続人は、Aの妻であるY、AとYとの間の子であるX及びBの3名のみであった。Aが生前にYと居住していた建物(以下「本件建物」という。)については、令和2年1月24日、売買を原因とするCからYへの所有権の移転の登記がされていた。
2.Xは、令和5年5月に行われたAの遺産分割協議において、Yに対し、本件建物がAの遺産に属する旨を主張したが、Yは、本件建物はYがCから買い受けたものであり、Aの遺産には属しないと主張したため、遺産分割協議は成立しなかった。
3.Xは、本件建物がAの遺産に属することを確定させるため、Yを被告として、民事訴訟を提起しようと考えた。


以下は、Xから相談を受けた弁護士L1と司法修習生Pとの間の会話である。
L1:Xは、Yに対し、どのような訴えを提起すればよいでしょうか。
 P:本件建物がAの遺産であることの確認を求める訴えを提起すればよいと思います。
L1:なるほど。それでは、まず、遺産確認の訴えを提起する方法について検討してみましょう。
 P:判例(最高裁判所平成元年3月28日第三小法廷判決・民集43巻3号167頁)によれば、遺産確認の訴えは、共同相続人全員が当事者となることを要する固有必要的共同訴訟とされていますから、X及びYのみならず、Bも当事者とする訴えを提起する必要があります。
L1:そうですね。それでは、遺産確認の訴えが固有必要的共同訴訟と解される根拠を、上記判例を踏まえつつ説明してください。これを「課題1」とします。
 P:承知しました。
L1:次に、Xによれば、遺産確認の訴えを提起することにつき、Bは、「自分も本件建物がAの遺産に属すると思っているが、現段階では、訴えを提起することには反対である。もう少しYと話合いをすべきである。」と言って譲らないということです。そのような場合でも、遺産確認の訴えを提起できるでしょうか。
 P:判例には、提訴しようとする当事者の訴権の保護などを根拠に、入会集団の構成員のうち提訴に同調しない者を被告に加えて、固有必要的共同訴訟である入会権確認の訴えを提起することが許されるとしたものがあります(最高裁判所平成20年7月17日第一小法廷判決・民集62巻7号1994頁)。本件でも、Xは、Bを被告に加えて遺産確認の訴えを提起すればよいと思います。
L1:そうですか。しかし、この判例は、ある土地が入会集団の入会地であることの確認を求める訴えに関するもので、原告となった入会集団の構成員以外の構成員が、その土地は入会地ではないと主張して提訴に同調しなかったという事案のようです。このことからすると、本件のようにXとBとの間で本件建物がAの遺産に属することにつき争いがない場合でも、この判例と同様にBを被告に加えて遺産確認の訴えを提起することに問題はありませんか。
 P:はい・・・。確認の利益があるといえるかが問題になるように思います。
L1:そうですね。そこでPさん、XがBを被告に加えて本件建物につき遺産確認の訴えを提起した場合に、その訴えには確認の利益があるという方向で検討してみてください。その際には、確認の利益が認められるか否かを判断するための一般的な基準を示した上で、それを本件事例に即して当てはめてください。これを「課題2」とします。
P:承知しました。


〔設問1〕
 あなたが司法修習生Pであるとして、L1から与えられた課題1及び課題2について答えなさい。
 なお、以下に掲げる【事例(続き・その1)】及び【事例(続き・その2)】に記載されている事
実関係は考慮しなくてよい。


【事 例(続き・その1)】
4.Bは、Xの説得により、Xと共同原告となって遺産確認の訴えを提起することとした。そこで、X及びB(以下「Xら」という。)から訴訟委任を受けたL1は、令和6年2月、Yを被告として、本件建物がAの遺産であることの確認を求める訴え(以下、この訴えに係る訴訟を「本件訴訟」という。)を提起した。
5.L1は、本件訴訟に係る訴えの提起に先立ち、Cから事情を聴取したところ、Cは、本件建物につき、令和2年1月24日にCがAに代金700万円で売却したもので、Yはその買主ではないこと、AとCは、同日、売買契約書を2通作成し、その際に、契約当事者としてそれぞれ署名押印し、1通ずつ保管したこと、Cが保管していた売買契約書は、同年3月に焼失してしまったこと、Cが令和5年5月頃、Yから同契約書の存否について聞かれた際に、同契約書が焼失した旨、Yに答えたことなどを話した。
6.Xらは、本件訴訟の口頭弁論の期日において、請求原因として、本件建物はCが令和2年1月24日に所有していたこと、Aが同日、本件建物を代金700万円でCから買い受けたこと、その後、Aが死亡し、その相続人は、Aの妻であるY、AとYとの間の子であるXらであること、Yは本件建物が遺産に属することを争っていること(以下、これらの事実を「本件請求原因事実」という。)を主張した。また、Xらは、請求原因に関連する事実として、上記売買の際、AとCは、売買契約書を2通作成し、それぞれ署名押印し、1通ずつ保管したこと、Yを本件建物の所有権の登記名義人にしたのは便宜上のものにすぎないことなどを主張した。
7.これに対し、Yは、弁護士L2を訴訟代理人に選任した上で、口頭弁論の期日において、本件建物をCが令和2年1月24日に所有していたことは認めるが、同日に本件建物をCから買い受けたのはAではなくYであると主張して、AC間の本件建物の売買契約締結の事実を争った。
8.本件訴訟は、令和6年4月、弁論準備手続に付されたが、L1は、その弁論準備手続の期日において、AがCから本件建物を買い受けたことを証明するため、L2に対し、本件建物内に保管されていると思われるAC間の本件建物の売買契約書(以下「本件契約書」という。)の存否を尋ねたところ、L2は、「そのような契約書はもともと存在しないとYから聞いており、仮にそのような契約書があったとしても、Yはそれを提出する義務を負わない。」と述べた。また、同期日に出頭していたYは、「Aの死亡後の令和5年夏頃に、本件建物内のAの身の回りの物を廃棄処分した。」と発言した。
9.そこで、L1は、本件契約書は既に廃棄されている可能性があると考え、Cに本件訴訟で証人になってもらうべく連絡を取ろうとしたところ、Cは令和6年3月に死亡していたことが判明した。

以下は、L1とPとの会話である。
 P:Cからの聴取結果によれば、本件契約書をAが保管していたことはほぼ確実であると思われます。それにもかかわらず、Yがそのような契約書はもともと存在しないと主張するのは不自然、不合理であると言わざるを得ません。
L1:弁論準備手続の期日でのYの発言からすると、Yは、本件契約書を廃棄している可能性が高いと思われます。そこで、Yが令和5年夏頃にAが保管していた本件契約書を廃棄していた場合に、Xらとして、どのような主張をすることが考えられるでしょうか。
 P:民事訴訟法第224条第2項に基づく主張が考えられます。その要件について、まず、本件契約書についてYに提出義務があると思います。また、弁論準備手続の期日でのYの発言からすると、「Yが、Xらによる証拠申出を妨げる目的で、本件契約書を廃棄して滅失させた」ということができそうです。
L1:そうですね。ただ、仮に、民事訴訟法第224条第2項の要件を満たしているとしても、その効果は、当該文書の記載に関する相手方の主張を真実と認めることが「できる」(同条第1項)ことにとどまります。そこで、裁判所に本件契約書の記載に関するXらの主張を真実であると認めてもらえるように、更に主張を補強してみましょう。まず、民事訴訟法第224条第2項により、当事者がある証拠を保存せずに廃棄してしまった場合に、当該文書の記載に関す相手方の主張を真実と認めることができることとされているのは、なぜでしょうか。その趣旨を説明してください。
 P:はい。民事訴訟法第224条第2項は、証明妨害の法理を具体化したものであると理解されていますから、証明妨害の法理の趣旨が問題になります。その趣旨については、学説上様々な見解があり、どれも説得力がありますが、私は、訴訟当事者間の信義則(同法第2条)に反するという点に根拠を求めるのが妥当であると考えます。
L1:分かりました。それでは、そのような観点から検討してみましょう。まず、①証明妨害とはどのような行為を指すのかを簡潔に示した上で、②証明妨害がなぜ「訴訟当事者間の信義則に反する」と評価できるのかを踏まえながら、そのような評価を基礎付ける要素として一般的にどのような点が挙げられるかを示してください。その上で、③Yが令和5年夏頃にAが保管していた本件契約書を廃棄していたことを前提に、本件において信義則違反という評価を基礎付ける具体的事実を、【事例】及び【事例(続き・その1)】の事実関係に即して示し、信義則違反が認められるとする主張をまとめてください。以上①から③までを「課題」とします。
 P:承知しました。


〔設問2〕
 あなたが司法修習生Pであるとして、L1から与えられた課題について答えなさい。なお、以下に掲げる【事例(続き・その2)】に記載されている事実関係は考慮しなくてよい。


【事 例(続き・その2)】
10.裁判所は、本件訴訟の弁論準備手続を終結するに当たり、Xら及びYとの間で、本件訴訟における争点はXらが主張するAC間の本件建物の売買契約の成否であると確認し、その後の口頭弁論の期日において、弁論準備手続の結果が陳述された後に、証拠調べが実施された。
11.その結果、裁判所は、本件建物をCが令和2年1月24日に所有していたこと、同日にAがCから本件建物を買い受けたこと、便宜上Yを本件建物の所有権の登記名義人としたことが認められ、同日にYがCから本件建物を買い受けたとは認められないとの心証に至った。他方で、裁判所は、①Yは、Aの生前に、Aと共に本件建物を利用して行う家業に長年従事していたこと、②Aは、Y及びXらに対し、Yが自分を支えてくれていたことに深く感謝しており、自分が死んだら本件建物はYのものになる旨をしばしば話していたこと、③Yもそれに対して異を唱えず聞いていたことも、それぞれ認められるとの心証を得ており、これら①、②及び③の各事実(以下「本件各事実」という。)からすれば、遅くともAが死亡した令和5年3月30日までに、AとYは、AがYに本件建物を死因贈与することを黙示的に合意していたと認定することができると考えるに至った。(ア)しかし、本件各事実については、XらもYも主張していなかった。


以下は、本件訴訟の担当裁判官Jと司法修習生Qとの会話である。
 J:本件訴訟の進行として、裁判所が、口頭弁論を終結し、本件各事実を認定して、Xらの請求
を棄却する旨の判決をすることに問題はありますか。
 Q:弁論主義との関係で問題があると考えられます。
 J:そうですね。それでは、この点について検討してみましょう。まずは、弁論主義といってもその内容にはいくつかの点が含まれますから、そのうちどの点が本件訴訟で問題になるかを明らかにしてください。次に、本件各事実は、いわゆる黙示の意思表示を基礎付ける事実であり、これは実務的には主要事実に該当すると解するのが一般的ですから、本件各事実が本件請求原因事実(【事例(続き・その1)】6.)に対する抗弁になることを、主要事実及び抗弁の意義を明らかにした上で述べてください。これらを「課題①」とします。なお、「課題①」について、弁論主義の適用が主要事実に限定されるか否かを検討する必要はありません。
 Q:承知しました。(イ)ところで、J裁判官は、証拠調べ実施後の口頭弁論の期日で、L2に対し、「証拠調べの結果からすれば、AとYとの間で本件建物につきA死亡を原因とする黙示の死因贈与契約が成立する可能性があると考えられますが、本件各事実について主張するつもりはありませんか。」と質問していました。これに対し、L2は、「本件建物の所有権移転登記の登記原因がCからYへの売買となっていることから、そのような主張をする予定はない。」と述べていました。このようなやり取りがあった場合には、裁判所がAからYへの黙示の死因贈与契約の成立を認定することは、不意打ちにならず、弁論主義に反しない、ということはできないでしょうか。
 J:私はそのようには考えませんが、弁論主義の本質に関わる良い質問ですね。そこでQさん、当事者に対する不意打ちにならないとしても弁論主義に反するとすれば、それはなぜかについて、民事訴訟において弁論主義が採られる根拠に言及しつつ、明らかにしてください。これを「課題②」とします。
 Q:承知しました。
 J:それともう一つ、下線部分(ア)及び(イ)とは異なり、本件各事実が、口頭弁論における当事者の主張に含まれていたと仮定しましょう。この場合においては、AがYに本件建物を死因贈与することをAとYとの間で黙示的に合意していたと判断しても弁論主義には反しないでしょう。しかし、裁判所が、そのような判断をするに当たっては、当事者に対して、AのYへの黙示の死因贈与契約という法的構成が採られる可能性があることを明らかにした上で、それを踏まえた主張立証を検討するよう促すべきであるとも考えられます。そこで、上記仮定の下での本件訴訟の手続経過や争点の所在を踏まえつつ、裁判所が当事者に上記検討を促すべきであるとする立論をしてみてください。その際には、その根拠と理論構成についても明らかにしてください。これを「課題③」とします。
Q:承知しました。


〔設問3〕
あなたが司法修習生Qであるとして、Jから与えられた課題①、課題②及び課題③について答え
なさい。

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