【重要判例】判例(証明妨害)
2026/04/26 更新
東京高裁平成3年1月39日判時1381号49頁
「保険金を支払おうとする保険契約者の無知に乗じて保険の効力の及ぶ期間を曖昧にする等の故意で、あるいは、それと同視し得る程度の重大な過失によって、遅滞分割保険料・・・・・・を受領した日時を記載しない弁済受領書を交付した場合には、保険者は、遅滞分割保険料……………の支払日時について、被保険者の証明妨害をしたこととなるものと解すべきである。 へさである。 このような証明妨害があった場合、裁判所は、要証事実の内容、妨害された証拠の内容や形態、他の証拠の確 保の難易性、当該事案における妨害された証拠の重要性、経験則などを総合考慮して、事案に応じて、①挙証者の主張事実を事実上推定するか、②証明妨害の程度等 に応じ裁量的に挙証者の主張事実を真実として擬制するか、③挙証者の主張事実について証明度の軽減を認める か、④立証責任の転換をし、挙証者の主張の反対事実の立証責任を相手方に負わせるかを決すべきである。」
「本件において、・・・・・・受領日時の記載がされないままに弁済受領書が交付されたことについて、Y又はAに前
述のような故意、あるいは、重大な過失があったと判断すべき事実は・・・・・・・認められない」ので、「証明妨害があ
ったとはいえず、本件において証明妨害の効果を論ずる必要はない」。
解説
1 証明妨害の要件
証明妨害の要件は、①証拠を保全する義務を怠ったこと、②そのために要証事実が真偽不明になったことが必要です。
2 証明妨害の効果と要件
(1)本判決では、証明妨害の要件には、重大な過失が必要としたようにも読めます。
(2)しかし、証明妨害の効果については、「要証事実の内容、妨害された証拠の内容や形態、他の証拠の確 保の難易性、当該事案における妨害された証拠の重要性、経験則などを総合考慮して」当事者の公平のもとで、客観的主張責任・立証責任を負う者が主張する事実が存在すると擬制できるか、を考慮すべきでしょう。
(3)私見ではありますが、必ずしも重大な過失は不要となると考えます。
参考
民事訴訟法判例百選(第6版)122頁。






